第238話 覚めるミリア、そしてアレックスと小さな翼(リトルウィング)
───ミリアさんっ!!。
「はっ………私は………」
場所は中央広場のベンチ。突然の声にミリアは解放されるように我に返り、正気を取り戻すのである。そうか、あれは夢であったようだ………。と、安心するのである。
「大丈夫かい、ミリアさん?」
ミリアに腕を組まされ、隣にはマスク・ド・aが心配な様子で尋ね、何度も話しかけてもミリアはずっと上の空だったので心配になった。
「すいません、少し考え事をしていました」
「考え事?」
「それは、マスク・ド・a様のあんな所やこんな所を色々と………。いけない、考えたら鼻血が………」
ミリアは鼻をつまみ、鼻血を止める。
「元気なら良い事だ」
アンゼシカ(真美)は苦笑いを浮かべ、困惑。
★★★★★★
おや?………と、2人は眺める。何故ならもう一方、(デート?)をしている2人がいたからだ。
「ねぇアレックス、あれ何っ?」
アレックスと手を繋ぎ、一緒に歩いているのは少女形態の小さな翼。活発な声を響かせ、町中を観光している。差しているのはアイスクリーム屋だ。コーンにはカラフルに盛りつけられたアイス、小さな翼から見たら何もかもが新鮮である。
「アレはアイスクリーム屋でな、色々なアイスを選んでな………」
「ダッシュっ」
説明の途中、小さな翼はアレックスから離れ、アイスクリーム屋に走る。
「分かった分かった」
アレックスはアイスクリーム屋に向かう小さな翼を追いかける。
───小さな翼はメニューに書いてあるアイスクリームをキラキラな瞳を光らせ、眺める。
「好きなものを選んでも…………」
ガジガジガジガジッ………。
小さな翼に視線を移したら………。愛情表現なのかアレックスに飛びつき、頭を甘噛みしている。
「コラコラ、俺はアイスクリームじゃない。何をするか選ぶと………」
そして………。
「冷たくて美味しい〜〜〜」
コーンには10段くらいに盛り付けられたアイスクリームを食べる小さな翼。初めて見るアイスクリームに瞳を光らせる。
「妹さんですか?」
アイスクリーム屋の女性は尋ねる。
「違う。少し訳ありでな………」
「可愛らしい女の子ですね?」
女性は小さな翼を眺め、褒め称えるのである………。正体が飛竜だと知ったら女性はビックリするであろう。
───それから、アレックスと小さな翼は町中を観光し、ジャグラーの大道芸、マジック、人形劇などを眺める。町中の観光は、小さな翼にとって何もかもが新鮮である。
アレックスっ!!アレックスっ!!
小さな翼は活発な姿でアレックスの手を引っ張り、連れて回すのである。




