第237話 孤独に付け入られるミリア
───この風景は一体?………
ミリアの視界には、荒廃と化した灰の平原が広がっていた………。灰色の空、灰色の砂原、吹き付ける冷たい風。時代から置き去りにされたかのように、そして荒れ果てた建造物が地面全体に行き渡り、突き出していた。
吹き付ける砂風を全身に浴び、自慢の金髪ロングが舞い上がらせ、ミリアは平原全体を眺めていた。
一言で表現すれば、この世界は死んでいた。どれだけ歩いても、どれだけ辺りを眺めても、どれだけ叫んでも………1人である。虫一匹すら、存在していない。
「父上、母上っ………」
ミリアは辺りを眺める。まるで迷子、涙を流して子供のように呼び叫ぶ。
───しかし、ミリアの叫び声を嘲笑うかのように灰の砂風が広がる。
次にミリアは仲間の姿を頭の中に思い浮かべる………。かれこれ、共に修羅場を歩んだ仲間達、その人達は何故、いない?。
「アレックスさん、デビッドさん、サウルさん、ロメロさん………マスク・ド・a様………」
ミリアは立ち止まり、諦めるように座り込む………。
みんな、私を残して何処にいったの?………どうしていなくなったの?………。次第に気持ちが壊れていき、死んでいる世界に全てを身に任せるように沈黙する。
私を、1人にしないで………。
───ミリアは訴える。
すると、壊れかけているミリアの心に優しく包み込むように………声が聞こえてくる。
救われたいか?孤独から?………。
「誰?………」
ミリアは立ち上がり、辺りを眺める。
そのとき………地面に詠唱陣が描かれ、ミリアの正面の位置に現れたのは聖剣クラウ・ソラス。聖なる輝きを放ち、声は無限のD(インフィニティD)。
ここは世界の行く末、我は(暗闇)(終焉)(死)を司る悪魔Diablos様の下僕でもあり、汝の力でもあり存在………。
無限のDの声は、この世界に響き渡るような声で説明する。
(Diablos………)
奴は悪魔………。ミリアは怯えた様子で後退………右腕には漆黒の詠唱文字が輝きを放ち、震わせる。
そんなに怯えなくてもよい………我に、Diablos様に全てを任せよ………そうすれば、汝を孤独から解放してしてあげよう………。
無限のDの声は聖剣クラウ・ソラスに聖なる輝きを放ち、持ちかける。
(孤独から…………)
ミリアは気持ちを交錯させ、聖なる輝きに安心を覚えてしまう。
この聖剣クラウ・ソラスを受け止めよ………。受け止めたら全てが叶うであろう………。
───無限のDの声は優しく囁く。




