第232話 軍事パレード、そして戦争準備
「あまり時間が残されていない状況になった………」
ガレッドは重い口調で言うのである………。
───3時間前、昼過ぎ。
場所は王都。大通りには兵士達が圧倒的な雰囲気を漂わせ、行進していた。空中には紙吹雪が舞い、規制柵から眺めて見物している観衆達はまるでお祭りのように賑わい、大歓声による熱気を放っている。
総兵力は100万、実施しているのは軍事パレードである。
★★★★★★
行進している兵士達は中央広場に一斉に整列し、ピタリとも動かない。異様な熱気の中、演説台に登ってきたのは大臣。小太りのスキンヘッドの50代の中年男性、名前はオスマン・ガルシア。
観衆達はザワつき、大臣を眺めるのである………。
「皆の者よ、ご機嫌よう。我が名はクロフォード王国大臣オスマン・ガルシアである。今まさに、我が国を取り巻く問題、それはテロリスト集団による反乱活動、それらにより王国の各施設が破壊され、不安に晒されているであろう。しかし、テロリスト集団に対し我が軍が優勢、心配はない………」
───テロリスト共を滅ぼせッ!!
大臣の発言に観衆達は雄叫びで応える。
「しかし、問題なのは東のノーザンブリア共和国との領土問題である。彼等は我が東地域を、奴等は西側だと主張し、その周辺を軍事訓練を実施している。そしてテロリスト集団に協力関係にある、これは許せない蛮行である。そんな事を、王国を生きる者として許せると思うかっ!!」
大臣の発言に観衆達は怒りの雄叫びで応える。
「そこでだ、作戦を実行に移す。東側の領土を守る為、大規模な軍事作戦を開始する。テロリストに協力し、愚かな主張する者達に鉄槌を下す。勝利はクロフォード王国に、そして我が偉大すべき祖先、レオナルド・ミア・シュバルツは喜びになるであろうっ!!」
大臣は赤黒いオーラを漂わせ、皆に行き届かせるように発言するのである。
───クロフォード王国に、栄光あれっ!!
観衆達は腕を掲げ、大熱狂。
それは禍々しく………観衆達は赤黒く、黒い角を生やした悪魔の姿をした赤黒いオーラを漂わせる。
そして建物の影に身を隠し、ガレッドは部下達と共に演説を眺めていた………。
「これは………何だ、この観衆達から放たれる(黒いもの)は………」
ガレッドは観衆達に驚愕し、額からは冷や汗が流れる。
これは、まずい事になった………戦争になる可能性は高い。
───すると、周辺を監視している警備兵が異変に気づき、ガレッドの元に歩み寄るのである………。
「まずい、退くぞっ」
ガレッド達はその場から撤退。




