第231話 かつて助けた娘との再会
「ふぅ、部屋の外で何をしているんだか………」
数時間後………。ミリアの部屋にて、メルディは彼女の溺愛クセに呆れつつ、体調を取り戻してベッドから起き上がる。全身に行き渡る龍属性の毒が解毒され、体調は万全である。痛みや熱はない、あと食欲不信などもない。
───棚の横に置いてあるのは自身の得物である2本のショートソードを取り戻し、腰元に納める。
(全く分かりやすい所に置いてあるな………)
メルディはタメ息、まるでコチラが最初からここから立ち去る事を分かっているかのように置いてある事に少し気に入らない。あの娘の優しさは、自分がこれまで経験した地獄に比べたら皮肉でしかならない。
黙って出ていくのはさすがに………。
そして………(治療させてくれて感謝する。次に会う時は敵として出会わない事を祈る………)と、メルディは軽く書き置きの手紙を残し、部屋を出ていくのである………。
★★★★★★
───〈冒険者ギルド・受付カウンター〉───
「はい、お疲れさまでした」
フィリーは依頼達成した冒険者に頭を下げて受付け対応していた。依頼の掲示板には冒険者達が依頼を探し、集まっている。
するとそこに………。
「頑張ってるようだね?」
メルディは話しかける。正体は、彼女はむかし助けた栗色の髪の女の子。あれからマシな孤児院に引き取られ、そして冒険者ギルドに就職。
「あ、お久しぶりです。メルディさん」
フィリーは言った。
「私の事を覚えているようだな?」
「忘れるわけないじゃないですか?。メルディさん達に助けてもらえなかったら今頃私はここにはいません………」
フィリーは感謝する。彼女と会うのは久しぶりだが、助けてくれた恩人の顔は覚えていた。
「そうか………私はこうやって君が元気に育ち、就職したのは嬉しい限りだ。君はまだまだこれから辛いことや楽しいこと、頑張りなさい………」
メルディは言った。
「メルディさんも、ご身体に気をつけて下さい」
「君もな………またその他諸々の相談事ならいつでも乗ってあげる」
メルディは(連絡先?)が記された紙を手渡し、冒険者ギルドの酒場から、そして町から立ち去るのである。幸い、冒険者達にはメルディの事は分からないらしく、バレていない。何故なら、民族派の某侯爵家による圧力や諜報員などによる工作により、手配が行き届かないようになっている。
★★★★★★
───町の外、場所は木々が生い茂る北の街道。
「無事だったようだな?」
メルディの前に現れたのはガレッド、そして率いる部下達。




