第230話 部屋の外にはマスク・ド・a
(ふぅ………ここの場面も何とか異常なく進んでいるな………)
私(マスク・ド・a)は安堵の様子で腕を組む。
部屋の外にて、壁にもたれ掛かかってミリアとメルディのやり取りを見守る。ちなみにメルディが意識を失った時、あの場面で登場するのは本来、トロールとオークによって構成された群れに襲撃されるハズだった。しかし私が城を抜け出した事により、ミリアの性格や能力、その場面に出現するモンスターなどに改変がされていた。
───ここで出現したモンスターは漆黒の聖職者だったが、何とかここまで進んで来れた。
(あの後は大変だった………)
私(マスク・ド・a)は恥ずかしい表情。右頬にはミリアのキスマークが残り、出現した漆黒の聖職者達を撃破の手伝いをした後、ミリアにいつものように溺愛されてしまった。
そして、ここはミリアが意識を取り戻したメルディに自身の正体を明かす場面だ………。部屋の中では色々と話しているんだろう。
(そして私は場面にひとつひとつ、異変がないか見守るだけである………)
私(マスク・ド・a)は、部屋の外から耳を研ぎ澄ませ、見守るのである。何しろマスク・ド・aは聴力や視力、洞察力は良い。どんな状況も見逃さない。
「君はいつも気配を消して現れるんだね?」
アンゼシカ(真美)は困惑する。
「はい、マスク・ド・a様がいる所に、私がいます………」
ミリアは瞳をキラリと輝かせ、アンゼシカ(真美)の腕を組み、乳房を当てて溺愛する。
「あの女性の事は良いのかい?」
アンゼシカ(真美)は尋ねる。
「はい、話していたら少し休むと言って、寝てしまいました………」
「そうかい」と、アンゼシカ(真美)。
ミリアは頬を赤く染め、モジモジと身体を震わせて口を開く。
「けど私は、マスク・ド・a様と一緒に寝入りたいなぁ…………そして抱き合って、そこから………ウヘヘヘへへへ…………」
「アハハハ、君は冗談が好きだね?。私は君が元気なのがなりよりだ………」
アンゼシカ(真美)は困惑しつつ、ミリアの冗談をさらりと受け流す。
「冗談じゃないですよ………私は、本気ですよ………」
ミリアは獲物を狙う瞳を光らせ、アンゼシカ(真美)にジリジリと歩み寄る。
「おやおやミリアさん、目が怖いですよ………」
アンゼシカ(真美)はミリアの好意に困惑し、ズルズルと後退する。
「何で逃げるんですか?マスク・ド・aさまぁ~?」
ミリアはさらに接近。アンゼシカ(真美)をジロジロ………。
「私は、これでッ!!」
アンゼシカ(真美)は逃げる。
「待って下さい、マスク・ド・aさまぁ~ッ!!」
ミリアは、マスク・ド・aを獲物を狙う獣のように追いかける。




