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第227話 少女を撫でるメルディ





 その夜、私は同志達と共に宗教施設に襲撃を開始した。


───ッ!!


 私は怒りにショートソードを振るい、中にいる王国軍の兵士を次々と斬り伏せる。額には返り血が行き渡り、表情は戦いの鬼である。あの頃に味わった地獄のような光景が今でも記憶の中に行き渡り、そして断末魔の叫び声、赤ちゃんの産声が聞こえてくる。


 日常を破壊し、理不尽に幸せを奪った王国が憎くて仕方がなかった………。


 すると兵士は突っ込む。位置はメルディの横、死角。


───死ね、テロリスト風情がッ!!


 剣を突き立て、横から突っ込んでメルディの横腹にグサリと突き刺す。そして同時に畳み掛けるように複数の兵士達が押し掛け、次々と突き刺さすのである。


 手応えあったか、しかし………。


「残念だったな」

 

 兵士達が滅多刺しにしたのはメルディの能力である疑似人形ダミードール。メルディは不敵に一言を吐き、複数の兵士達に一閃して斬り抜ける。


 空中に鮮血が広がり、地面には紅に染まる。そして兵士達の骸が行き渡り、生き残りの兵士が………。


 メルディは機械のような表情。額には返り血を浴び、コツコツとした足音を響かせて歩み寄る。


「殺さないでくれ………」


 無様に命乞いをする王国兵。しかし………。


───メルディはショートソードを振るい、粛清。


「外道め。貴様に息をする資格はない………」


 そうやって命乞いする民族、そして幸せを破壊したのだから………。メルディは部下を率いて地下牢に突入するのである。


 ★★★★★★


 相変わらずこの場所には吐き気がする………不気味に照らされる赤い灯り、天井からジャラジャラと音を響かせてぶら下がる鎖。幾つかの鉄格子の牢屋の中では吐しゃ物や排せつ物、体臭が混じった匂いが充満しており、環境は最悪だ。


───その向こう側ある部屋では鬼畜外道と呼ばれる所業が行われ、無数にあるパイプベッドには遺体が転がり、赤ちゃんが沢山いる。


 メルディの部隊は牢屋に閉じ込められている民族、宗教、伝統を尊重する民間人を解放する。解放された民間人は陽の光を浴び、歓喜を上げて涙を流す。


「大丈夫かい?」


 メルディは少女に思わず尋ねる。年は15歳位、髪は栗色、長い期間にて監禁されていたタメ息、髪や着用していた服はボロボロである。

 

 栗色の髪の少女は、ブルブルと震える声を響かせ………。


「あ………ありがとうございます」


 少女はビクビクとした声で答えた。いきなり現実を破壊され、ここに連れて来られた為、地獄の光景が怖かった。


「よく、頑張ったな………」


 メルディは少女を頭を優しく撫でる。


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