第226話 戦士になるメルディ、父との再会
地獄と言う名の施設は彼等に制圧された………。
まず、王国が実施していたのは悪魔の所業とも言える。民族、宗教、伝統文化を尊重する者を捕らえ、人身売買の商品として施設の地下で監禁していた。それ以外の事もしていたが、吐き気がする程であり説明はしたくない。この地獄から解放してくれた彼等の名は反民族支配主義と言う名の組織だ。主に王国政府の政策に対する反対運動であり、民族派の人間を国外に逃亡する手助けもしている。
地獄から解放され、陽の光を久しぶりに浴びた。全身に行き渡る感覚は(生)を実感させる。
───私は外で母親を見つけたが………。
(…………)
ズラリとした遺体の数々………母はその1体の遺体として並べられ、助からなかった。父親はいない、行方不明なっていた………。そんな光景を眺めても、私は涙が流れなかった。感情が壊れ、何も思わなくなったのだ。
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それから3年後………私は15歳になった。私は解放してくれた組織に入って厳しい訓練を受け、王国に対して復讐する為、戦う事を決心した。
───私の戦闘スタイルはショートソードを二刀流に振るい、スピードと回避技術で大勢の敵を斬り伏せ、心身を血で染めてきた。
民族、宗教、伝統を尊重する者には地獄と言う名の厚生施設、王国軍が駐留している拠点アジトに奇襲を仕掛け、そして王国軍の関連施設などを破壊し、活動してきた。
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とある町の大通りにて………場所は南中部地方。任務は地下の奴隷施設の周辺視察、行き交う人々に潜み、王国軍の兵士に気づかれないように調査。
とりあえず、待ち合わせ場所である酒場にて………。カウンター席には私、隣には漆黒のフードを全身に身を隠した情報屋だ。情報屋は小さな紙切れを渡し、小さく説明する………。
「この町の南にある施設だ。表向きは宗教関係の民間施設、しかし裏では民族派の人間を連行して地下で人身売買などを行われている。これを積極的に運営しているのは、王国だけどな………」
「吐き気がする………人間を何だと思ってるんだ………」
私は拳を握りしめ、怒りを露わにする。自身が経験したあの地獄の光景が浮かび上がる。
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───決行は夜、私は酒場を後にするのである。
大通りを歩いていたら父親らしき影が視界に移り、思わず私は………。
「お父さんっ」
私は追いかける。優しいお父さんとの思い出が、(心)に行き渡る………。生きていたんだ。と、嬉しい気持ちになる。しかし………。
民家に入る父親。しかし父親は違う女性と結婚し、女の子の娘までいた。
(お父さん………)
私は影から眺め、そして立ち去るのである。




