第222話 アレックスの実力
───全体に焼けるような爆煙。雄叫びが行き渡り、互いの勢力は交戦中。
デビッドは魔法を唱え、炎球による爆撃を展開し、ロメロは斬りかかる敵を回避しつつ拳撃を与え、サウルはバッグから小型爆弾や雷爆弾、氷爆弾を投げたりして敵を倒していく………。
「えいっ………」
一方のミリアはたまに襲いかかる敵の攻撃を切り払い、ドスッ………と、柄でみね打ちで気絶させる。
殺害しないのは、自身に宿るDiablosが反応し、力が暴走してしまうからだ。
★★★★★★
───アレックスの剣圧に負け、メルディはグラッ………と、後退。体勢が崩れてガラ空きの状態となり、そのスキをアレックスは見逃さない。
そして斬りかかる。
「悪く思わないでくれ………」
アレックスは一言を吐き、瞳からポロりと涙が流れる………。ロングソードを振るって剣撃を与え、斬った感覚が刃先から全身に行き渡る。戦場では男も女も関係ない、弱い者は死ぬ。それが常だ。涙を流すのは、僅かな思いやりである。
───しかし。
「アナタがね………」
アレックスの右横にメルディの声。
アレックスは思わず声の方に振り向く。斬ったのはメルディは能力によって精製された疑似人間。斬られる寸前、疑似人間を身代わりにした。
斬りかかるメルディに………。
「そんな事はお見通しなんだよっ」
アレックスは察知。ロングソードを振るい、メルディと刃を交える。察知が出来たのは歴戦のカンだ。メルディから響かせる僅かな音………それは足音や持っている武器から響かせるカチャカチャとした音、そしてあらゆる音を拾い、把握していく………。
何っ………と、少し驚くメルディ。そして剣圧に負けしたかのように跳び下がり、距離を整える。
「あの娘とは違うようだな?なら、これならどう?」
メルディは斬りかかる。アレックスにショートソードを振るう寸前、大量の疑似人形を出現させ、かく乱させる。
───目の前から迫る疑似人形に、アレックスは両手でロングソードを構え、リラックスした状態で息を整える………。
(味なことを………)
アレックスは駆ける。次々と疑似人形を潜り抜け、1体、1体を把握していく………。
───そして最後の1人、アレックスはロングソードを振るい、メルディの左手のショートソードを空中に弾き飛ばす。
「クソッ………」
メルディは片手のショートソードを振るう。
「甘いッ!!」
アレックスはロングソードを切り上げ、メルディの体勢を破壊。そして体勢を崩した所に再び、ロングソードを振るう。
───ッ!!
メルディは跳び下がる。しかしアレックスのロングソードが腹部にカスり、出血がにじむ。




