第221話 アレックス対メルディ
数日後………。
時刻は朝、天気は快晴であり東から風が吹きつける。場所は南東部地域にあるデコボコした丘が行き渡る平原地帯。アレックス達はこの地でしか育たない食用キノコの採取依頼だと思って受注したが………。
アレックスはロングソードを構え、険しい表情を浮かべて戦闘体勢を整える。
「やっぱり、フェイクの依頼をかけやがったか?」
アレックスは言う。
そしてデビッド、サウル、ロメロも戦闘体勢を整え、ちなみにミリアは内に宿るDを考慮し、後方支援の体勢を整えるのである………。
(私はいつものように影から皆を見守るサポートである………)
デカい丘の影に身を潜め、アンゼシカ(真美)はいつもの立ち位置で見守るのである………。
───相手は反民族支配主義の構成員達、またしてもギルドに偽装依頼を発注し、冒険者ギルドをおびき寄せた。問答無用とも言える戦闘体勢。数は十数名、部隊を率いているのは…………。
両手に持つショートソードの刃をキラリと輝かせ、正体はとある木の葉色のショートヘアーの女性戦士。
「図書館以来か………」
隊長のメルディ・ディアス。ショートソードを両手で構え、血なまぐさい殺気を立てた威圧感を漂わせる………。
「アンタの事は知っている。うちのミリアが世話になったみたいだな?」
「…………そんな事はあったな。あの時は形勢逆転されて、敗北したっけ………。けど、アナタはあの娘とは違って、力量はありそうね?」
「お手柔らかにと言いたい所だが………俺もアンタの実力はある程度は知っている。全力でいくっ!!」
アレックスはロングソードを上段構え、駆ける。前に説明したが、これは互いに生き死にを掛けた戦争だ………。
「その減らず口、黙らせてあげるわッ!!」
メルディは両手にショートソードを構え、冷たい殺気を立たせて駆ける。
───そして、互いの勢力は交戦に突入するのである。敵勢力による雄叫びが戦場に響き渡り、覚悟を表している。
「何故、私達の理念が分からないッ!!」
メルディは殺気立てて尋ねつつ、両手からショートソードを振るう。
(クソ、何て剣さばきだ………)
アレックスはロングソードを振るい、切り払う。言葉を返そうにも剣さばきが早く、返せない………。テロ組織の人間と相手をしていて、一致するのは王国に対する恨み、怒り、そして国を変えなければならないという覚悟だ。
「私達の理念が分からないなら、死ねッ!!」
───メルディはスピードをアップさせ、さらに仕掛ける。
しかしスピードはアップしても、剣撃が軽い。
「踏み込みが甘いッ!!」




