第219話 小さな翼(リトルウィング)の正体
───〈冒険者ギルド・酒場〉───
ミリアに宿るDiablosを祓えなかった事により、意気消沈に浸る。とりあえず、用事を終えたアンゼシカ(真美)とミリアは冒険者ギルドの酒場に戻るのである。
いつもの依頼掲示板には冒険者達が仕事を探している。2人は酒場のテーブル席に向かい、アレックス達と合流しようと…………。
「おかえり………」
テーブル席のアレックスは頭を抱え、タメ息。
───ムシャムシャムシャ………。
肉、ミートパスタ、ライス、サラダなどが山盛りに盛られた料理をガツガツと食べているのは桃色髪の少女だった。髪型はショートヘアー、褐色の肌。容姿は12歳、袖無しの赤ベストに短パン、そして裸足………。山盛りに盛られた料理とは裏腹に、大変愛らしい姿をした少女である。
「えっ………と、どちら様?」
ミリアは尋ねる。すると桃色褐色の少女はホッペにソースを付けたままの表情を浮かべ、ミリアに視線をキョロっと向いて………。
「おかえり、ミリアっ」
力いっぱい抱きつく桃色褐色の少女。
「アレックスさん、この娘は一体?」
ミリアは再び尋ねる………。
「私、小さな翼っ」
桃色褐色の少女は活発に答えた。
えっ…………小さな翼?。と、ミリアは驚く。パッと頭の中に思い浮かぶのは小さな翼の飛竜。
(そういえば………)
忘れてた………小さな翼は人に変身する能力を持った飛竜だった。基本、仲間としてではなく、アレックスとミリア限定による召喚術で登場する飛竜だ。
アレックスは涙ながらの表情を浮かべ………。
「助けてくれ………このままでは俺のサイフが………」
アレックスはミリアに助けを求める。何故ならかなりの食事の量な為、料金がヤバい。ミリアとアンゼシカ(真美)が悪魔祓いに行っている間、一緒に軽く討伐依頼を受け、帰ったら正体を明かされた。小さな翼は腹が空いていた為、かなりの量を食べる。
このままでは、アレックスの所持金が底をついてしまう………。
────そして………。
「こうして、アレックスさんは身ぐるみを剥がされてしまい………」
「剥がされてねぇよ。ちゃんと払ったわ」
テーブル席に座り、デビッドの冗談気なセリフにアレックスはツッコミを入れる。合計金額は払ったが、大変に笑えない金額となり、アレックスはウルウルになった………。一方の小さな翼はミリアの膝元でかわいい寝息を響かせ、寝ている。
すると、ロメロは真面目な表情を浮かべ………。
「ミリアさん、悪魔祓いはどうでしたか?」
ロメロは問うのである………。




