第218話 悪魔祓い失敗、そして………。
「ぐあっ!!」
ミリアの(心)の中にいる巨大な(何か)に精神空間を追い出され、除霊師は吹き飛ばされて壁に激突した。カーテンが掛けられた本棚、壁に飾られている宗教道具がガタガタと倒れ、床に散らかる。
一方、店の外では物凄い音が響き渡り、通行人達が思わず立ち止まって驚いている。
───除霊師は立ち上がり、フラフラになりながら壁に掴まって立ち上がる………。
「あの、大丈夫ですかっ?」
ミリアはイスから立ち上がり、尋ねる。すると除霊師は恐々とした様子で口を開く。
「…………まさか、アナタにあの悪魔が宿っているとは………伝説の悪魔Diablos。あのクラスの悪魔を自分の力では、追い出すことは………」
全身を強く打ち、行き渡る痛みでフラフラな様子の除霊師は言う。自分では祓う事は不可能を意味する。
やっぱりこのような結果になってしまった………。ゲーム本編のラスボス、除霊師が祓える程、甘くはない。ミリアは問う。
「何とかならないのですか?」
ミリアは尋ねる。ミリアの質問に、除霊師は曇らせた表情を浮かべ、説明を開始する………。
「とてもじゃないが………。もし無理をして祓っても、ワタシや君も無事では済まない。そしてDiablosが外に出て、町や国、世界を破滅に導いてしまう………」
と、除霊師は震える声で答える。Diablosの姿に威圧され、伝説クラスの悪魔相手に畏怖してしまったのだ。相手に出来るのはせいぜい中級レベルの悪魔だ。
するとアンゼシカ(真美)は食い下がる………。
「他に方法はないのですか?中に入って奴を倒すとか?」
アンゼシカ(真美)の質問に除霊師は………。
「入る事は出来る………しかし精神空間の中で戦う事は、奴の土俵で戦う事になる。あのクラスを精神空間で戦う事は、精神空間を好きに書き換えられたり、好きに追い出す事が出来る。勝負にならない………」
除霊師は答えた………。
───除霊師の言葉に、2人は沈黙するのである。改めて、悪魔祓いは不可能を意味する。
………それから、2人は除霊師の元を後にする。料金の方は、除霊出来なかった事により無料となり、相談料のみの支払いとなった。
★★★★★★
2人は魔法学区の中通りを歩いていた。行き交う通行人は、魔法の装飾を身に着けた者達がほとんどであり、同じ町なのに違う雰囲気である。
何て言葉を掛けたら良いか………アンゼシカ(真美)は色々と考え、頭の中を駆け巡らせる。下手な励まし言葉は場合によっては刃となり、また彼女を泣かせる事になってしまう。




