第217話 (心)の中に侵入、しかし………
───場所は魔法学区にある建物の店。主に除霊、解呪、そして目的の悪魔祓いを専門にしている店である………。
店内は仄暗く、焼香の香りが充満して怪しい雰囲気。壁には不気味なワラ人形や十字架、動物の頭蓋骨が掛けられ、本棚には呪術用の書物が整頓されている。
「本日はどのような相談を?………」
除霊師は尋ねる。黒い神官服を着用し、フードを頭に被った初老の男性。フードから覗かせるボサボサの白髪、頬にはシワが残り、口元はホクロ。
「はい、実は………」
除霊師に2人は相談。
除霊師はふむふむと頷き、メモ用紙に2人の相談内容を書き示す………。
「分かりました。では、こちらへ………」
除霊師は、カーテンに仕切られた儀式室に案内。アンゼシカ(真美)も付き添いで付いていく………。
───〈解呪・除霊室〉───
床には魔法陣が描かれ、ミリアは中心の位置にあるイスに腰掛ける。
アンゼシカ(真美)も見守る中、始まる。
「では、始めます………」
除霊師はミリアの前に立ち、両手を掲げて開始。そして緊張感がピリピリと行き渡る………。
★★★★★★
───除霊師はミリアの(心)に入り込む。(心)の中はキラキラした白銀の世界が広がり、根源を探す為、奥に進む。相談者の(心)の中に入り、憑依している悪霊、呪い、悪魔を祓うのが主な作業だ。
(こっ………これは………)
少し進むと、立ちはだかるのは赤黒い巨大な(何か)だ。赤黒いオーラを漂わせた巨大な球体、無数の眼や口が行き渡り、漆黒の鎖が空間中を寄生しているかのように広がる。
たチさレ………キサマゴトきにワレに叶わぬ………。
侵入してきた事により、巨大な(何か)は轟々しい声を響かせ、禍々しい赤黒い閃光を展開する。
───すると、ある光景が広がる………。
それは過去、悪魔崇拝の儀式の光景だった。とある礼拝堂にて、剣を持った神官がイスに拘束されている巫女の右肩、左肩、右太もも、左太ももをグサリと突き刺し、断末魔の叫び声を響かせる。叫び声に対して信者達は喜びの声で応え、熱狂している。
そして最後、神官が巫女の胸にロングソードを突き刺し、儀式を終える。
───その時、骸の巫女は赤黒い瘴気を放って変異し、悪魔Diablosが誕生した。
(なんて威圧感………これまでの悪霊や悪魔とは………)
思わず臆するが、それでも諦めない。両手を構え、除霊の詠唱術を唱える。
立ち去れ、貴様ごときが我を取り除く事は不可能だ………。
巨大な(何か)は轟々しい声を響かせ、赤黒い閃光を空間中に展開する。




