第216話 酒場に戻れたアレックス。そして悪霊祓いに向かうミリア
───〈冒険者ギルド・酒場〉───
数時間後………。
「ハァ………ハァ………ハァ………」
テーブル席にて、肩を上下に揺らして息を整えるアレックス。額からは汗が流れ、全身に鉛を装着されたような疲労感がずっしりと重く行き渡る………。
───キュ〜〜〜〜………。
ブンブンと尻尾を振り、わんぱく盛りな鳴き声を響かせる小さな翼はガツガツと咀嚼し、大皿に盛られた廃棄食材を食べる。たくさん働いたのでお腹がペコペコである。
「あのアレックスさん………大丈夫ですか?」
ミリアは心配な様子で尋ねる。
「大丈夫だ………少しわんぱくなだけだ………」
アレックスはタメ息を吐きつつ気丈に答える。
なかなか解放してくれない小さな翼。訳の分からない場所に着地され、どうやってここに帰って来たか………。牧場育ちでわんぱくな乳牛や肉牛、羊などの家畜の相手はしてきたが、飛竜は初めてであり、大変だ。
───キュ〜〜〜………。
アレックスの頬をペロペロとなめる小さな翼。この子はまだ子供であり悪気はない、ただ遊んで欲しいだけだ。
「ヨシヨシ………遊んで欲しいだけだよな?」
アレックスは気さくに小さな翼の頭をスリスリと撫でる。
───キュ〜〜〜キュ〜〜〜………。
頭を撫でられ、尻尾をブンブンと振って喜ぶ小さな翼。
「すっかり懐かれてますね………」
ミリアは眺める。しかし飛竜の飼育はかなりハードであり、下手したら命の危機もある。
かぷっ………。
「だからスキあらば噛むんじゃない。離すんだ………離しなさい………」
小さな翼にカプッと右手を甘噛みをされるアレックス。力が強くてなかなか離れない。
★★★★★★
───〈中央・大通り〉───
「デート、デート。マスク・ド・a様とデ〜トォ〜」
アンゼシカ(真美)と腕を組み、大通りを歩くミリア。その後、皆と別れて悪霊祓いに向かう。ちなみに私(真美)は付き添いとして同行する。
「ミリアさん。これはデートではなくて、アナタのお祓いに行くのですよ………」
アンゼシカ(真美)は言う。
───じぃ〜〜〜………。と、ミリアは見つめる。
「えっと、どうしたんだい?」
「マスク・ド・a様って、何処かで会った事はありますか?」
ミリアは尋ねる。
なお、ゲーム本編では悪霊祓いのイベントはない………何故ならミリアにどのルートでもDiablosに取り憑かれていない。本来、Diablosに取り憑かれ、ラスボスとして立ちはだかるのはアンゼシカ・ヨハーソン。
あまり認めたくはないが、もしアンゼシカ(真美)が城を離れなければDiablosはミリアに取り憑かれなかった。




