第215話 小さな翼(リトルウィング)に溺愛されるアレックス
────それから数日後………。
場所は中央都市アフタヌーンを数時間、西方向に進んだ先、崖と崖に挟まれた荒野地帯。またしてもモンスターの討伐依頼だ。5体の骸骨騎士と3体の亡者の鎧。そして、10体の漆黒の聖職者の討伐だ。この所、何故か霊属性のモンスターやゾンビ系のモンスターの出没が活発になり、あまり出没しない場所でこういったモンスターが出没するようになり、それと冒険者ギルドと王国政府の提案によるテロ撲滅運動やらで大忙しだ………。
★★★★★★
───ッ!!
アレックスとミリアは剣を振るい、デビッドは雷球の魔法。サウルは小型爆弾を使い、ロメロは拳撃でモンスター達を次々とせん滅していくがモンスターの数が多い。モンスターは減るどころか、増えていく………。
そして………。
「来い、小さな翼ッ!!」
アレックスはロングソードを掲げ、呼び叫ぶ。実戦には丁度良いかもしれない。
───その時、アレックスの言葉に応えるようにキラリと竜眼を輝かせ、蒼天の大空を飛来するのは小さな翼の飛竜。
キュ〜〜〜〜ッ!!
そしてガバッと大口を開き、1発、2発、3発の火炎球を吐き、モンスター達に火炎球を浴びせ、空爆を展開する。火炎球を浴びたモンスター達は次々と消滅し、撃破される。火炎球による爆発により岩壁、地面には衝突跡が行き渡り、煙が立ち昇る………。子供とはいえ飛竜、攻撃力はケタ違いだ。
するとアレックスは大空に向かい………。
「よくやった小さな翼っ!!」
アレックスは大空をクルクルと飛来する小さな翼を呼び叫ぶ。
───キュ〜〜〜〜ッ!!
アレックスの呼び声に応える小さな翼は低空飛行で接近し………。
ガシッ………。
「ってコラ、俺を持ってくなっ!!」
小さな翼に両肩を掴まれ、そのまま連れて行かれるアレックス。
キュ〜~~~ッ!!
小さな翼はキューとな鳴き声を響かせ、上空飛行。小さな翼はアレックスに懐いている為、イタズラをしてしまう。
「お幸せにぃ~~~」
デビッドとサウル、ロメロは手を振ってアレックスを見送る。
「降ろせ、小さな翼ッ!!。降ろしてくれぇ〜〜〜………」
アレックスはジタバタと暴れ、訴える。しかし小さな翼は遊び足りない為、解放してくれる様子はない。アレックスを連れてどんどんと離れていく。
一体、小さな翼はアレックスを何処に連れて行くのか………それは誰も分からない。連れて行った方向は中央都市アフタヌーンとは違う方角であり、無事に帰って来れたら良いのだが………。




