第214話 飛竜が仲間に?
───〈冒険者ギルド・酒場〉───
討伐依頼から帰還したアレックス達。ひとまず受付カウンターにいるフィリーに(依頼完了)の報告をするのである………。
「え〜〜っと。依頼達成、お疲れさまでした………」
フィリーは恐々した様子で報告を受ける。それだけではない、酒場にいる冒険者達はジロジロと眺めている。何故なら………。
───キュ〜〜〜ッ。
アレックスの隣。尻尾をパタパタと振り、キュートな鳴き声を響かせるのは子供の飛竜。飛竜の子供ではあるが体長は2メートルはあり、デカいから目立ってしまう。
するとアレックスは口を開く………。
「気に入られたてしまってな。それで付いてきたんだ………」
アレックスは頭をポリポリと掻いて事情を話すのである。飛竜の巣から立ち去ろうとしたら懐かれてしまい、トコトコと付いてきたのだ。これは仲間加入のイベントであり、仲間と言っても召喚獣扱いである。
───かぷ………。
「噛むんじゃない………離すんだ、離しなさいっ」
アレックスは、右肩をかぷかぷと甘噛みしてくる子供の飛竜に優しく叱る………。
「気に入られているみたいですね?」
フィリーは困惑。
「とりあえずアレックスさんは非常食として………」
「誰が非常食だぁ?」
デビッドの発言にアレックスはツッコむ。
★★★★★★
───そして、皆は昼飯の休憩にする………。一方の子供の飛竜は、大皿には酒場の厨房から出た廃棄食材や残り物を提供され、ガツガツと食べている。飛竜は雑食性だから何でも食べるらしい。
昼御飯の中、話し合うアレックス達。ちなみに私(真美)も含まれ、参加している………。
「さて、とりあえず名前だが………」
アレックスは休憩がてら、子供の飛竜の名前を考え始める。なるべく気に入る名前にしよう。
それから数分、軽く話し合い………。
「小さな翼ってどうだ?」
アレックスは提案。そしてそれが採用され、すぐに決まった。話し合いと言っても数分、アレックスが提案して、それで終了した。
───キュ〜〜〜〜キュ〜〜〜〜………。
アレックスの提案を気に入り、小さな翼はアレックスの両肩に抱きつき、頭をガジガジと甘噛みをしてくる。
「喜んでいるみたいですね?………」
腕を組むデビッドは光景を眺め、納得する。何か捕食行動と似ているが、大丈夫だろうか………。
「だから甘噛みをするなって…………」
アレックスは引き離そうとするが、子供の飛竜の腕力は強く、離れない。一種の愛情表現なのだろう。
ちなみに小さな翼は、アレックスやミリアが呼べば駆けつける仕組みだ。いわゆる召喚術だ。




