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第212話 地下牢の真実





 ガレッド率いる部隊は辺りを眺め、通路を進む…………。不気味な牢屋が幾つも並び、石造りの地面にジャラジャラとした鎖の音。天井に吊るされ、紅色に照らされるランタン。鉄格子の部屋に閉じ込められているのは誰もいない。


 鉄格子は血で汚れており、茶色くサビている………。


───この景色を眺め、ガレッドは憤る。


「悪趣味だな、民間人を騙してこんな場所で拷問して情報を得るとはな………」


 ガレッドは険しい表情。王国軍は民間人をこんな所に閉じ込めて拷問をして情報を得るなんて何だと思ってるのかと………。


 辺りを眺め、通路を歩いていても捕虜は見つからず、声すら聞こえない。


───アゥ………アゥ………アァっ………。


 その時、赤ん坊の泣き声が通路中に響き渡る。


「赤ん坊の声だと?………」


 ガレッドは驚愕。そして通路を駆け走り、赤ん坊の声を参考にし、探し回る。


 ★★★★★★



───〈病状用・安置スペース〉───


「ガレッドさん、いましたっ」


 構成員は声の方に指した。


───赤ん坊が寝ていた場所は、仄暗い景色が行き渡る広い安置スペースだった。茶色く汚れたシーツの赤ちゃん用ベッドに置かれ、泣き声を響かせる。


 アゥ………アゥ………アァ………。


 ベッドに寝ている赤ん坊に駆けつけるガレッド。


「まさか、赤ん坊や民間人を使っての人身売買かッ!!。王国め、そんな下卑だ事をするまで腐っているのかッ!!」


 ベッドから赤ん坊を抱き上げるガレッド。民間人を拷問だけでなく、人身売買。腹の奥から灼熱する程、怒りが込み上げる。


 そして、赤ん坊をヨシヨシと抱き上げるガレッドに、ある光景が広がる………。その光景を見て、ガレッドは戦慄した。


「…………こんなことって………」


 ガレッドは赤ん坊を抱き上げたまま、ガクッと膝を崩した。涙がボロボロと流れ落ち、怒りや憎しみを通り越し、悲しい気持ちになる。


───仄暗い安置スペースにて幾つものベッドが並び、横たわる民間人の遺体の数々………。空気中に鼻を突くような腐敗臭が充満している………。


 ここで王国がしてきた非道な事に、ガレッドは思わず叫ぶのだった。


「何故だッ!!同じ人間でも、何故こんな事が出来るッ!!民族、宗教、文化、たったそれだけの違いだろうッ!!」


 ガレッドは涙を流し、叫ぶ。やっている事が人間ではない、王国に捕まった同胞や民族派の民間人はよく知っている。その末路がコレなんて余りにも………。


 アゥ…………ダァ………アゥ………。


 抱きかかえる赤ん坊は、涙を流すガレッドの頬にペチペチと手を当て、喜ぶ。


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