第210話 モンスターに変身する兵士
ガレッドはハルバートを片手で構え、同志達と共に通路を駆け走る。施設内に響き渡る爆発する音、敵味方の雄叫び、コンクリート製の壁と天井からはパラパラと粉塵が行き渡る………。
至るヶ所の部屋、通路から次々と駆けつける王国軍の部隊。そしてガチャと得物を構え、隊列を整える。
「邪魔だッ!!」
───ガレッドはハルバートを振るい、同志達と共に王国軍の兵士達を次々と撃破。
先に地獄で待っているか………敵の言葉を思い出す。そんな事は、組織に入った時点で分かっている。今まで何か所の王国施設を破壊し、兵士を殺してきたんだ。死んだら天国には行けないだろう、これまで積み重ねてきた業は死んで地獄で償わなければいけない………。
★★★★★★
────ハルバートで王国兵をなぎ払い、辿り着いたのは広間。空気が屋内を吹き抜け、不気味な程に静まり返り、向こう側には重厚な扉が覗かせている。
しかし、あの扉の方からは手足が震える程の(何か)を感じる………。黒くて青い、悲痛の声を上げるように吹き出している。
するとガレッドは、閃光のような歴戦の勘が本能的に働き、察知する………。
「構えろ………」
ガレッドは落ち着いた低い声を響かせ、皆に命令。
そして同時にガチャ………と音を立て、重厚な扉、至る通路や部屋から次々と現れたのは王国軍の兵士。
1、2、3、4、5、6………数は10名だ。
「とりあえず、そこを退いてもらおうか?」
ガレッドは威圧感を漂わせ、ハルバートを片手で構えて戦闘体勢を整える。この威圧感で逃亡する者はいる、もし逃亡したなら逃してやるつもりだ。この威圧感は優しさだ………。
───しかし、兵士達は下がらない。
ヴヴヴヴヴヴっ………。
兵士達はうめき声を響かせ、赤黒いオーラを漂わせている。身体を左右に揺らし、そして………。
───兵士達はブツブツと(何か)を呟き、全身に漆黒の炎を発生させて咆哮。
何だ………と、その光景にガレッド達は臨戦態勢を整え、騒然とする。
すると炎が消え、王国兵達はモンスターに変身。額には2本の角、ギラリとした鋭眼。全身は漆黒の鱗が行き渡る肉体に太い両腕、背部には翼。
容姿はまるで伝承に記された悪魔である………。
「王国軍の兵士がモンスターに変身しただと?………」
ガレッドは驚愕。
───10体のモンスター達は理性を失ったかのようなうめき声を響かせ、全身をユラユラと揺らして戦闘体勢を整える………。人間離れした漆黒の威圧感、そして漆黒の吐息。
「怯むな、勝利は我らにッ!!」
ガレッドは怒号。




