第201話 帰りの馬車にて………。
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使用人としての依頼を終え、帰りの馬車にてミリアは考えていた。少し寝坊はしたが、ロメロに起こされて何とか残りの使用人業務を終える事は出来た。ヨハーソン家の歴史、そしてシュバルツ家の真実。とてもではないけど、気持ちを整えるのに時間は掛かりそうだ………。
何故かホセ公爵に書斎スペースに入った事を咎められなかったが、あまり触れないようにしよう。
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───ガタガタと揺られる馬車の中、ミリアは沈黙。そして思い浮かぶのである………。
何故だレオナルドッ!!お前は同胞殺しにまで墜ちたのかッ!!民族、宗教、伝統を尊重し、お前はそんな奴ではなかったッ!!かつての共に戦場を駆け抜けた頃のお前は何処にいったッ!!
ミリア・ミア・シュバルツ女王陛下ッ!!アナタを追放処分とするッ!!
クリス・ヨハーソンの慟哭とアンゼシカ・ヨハーソンの声を思い出すミリア。そして記憶から推測し、ある考えが浮かんだ………。
(お姉様はもしかして、王国を救うために私を追放したのではないか?………)
ミリアはそう考察した。Diablosに取り憑かれたレオナルド・ミア・シュバルツによる独裁。それが王族代々に引き継がれ、今も独裁により一部の国民や民族派の人々は苦しんでいる………。
「考え事ですかミリア様?」
ロメロは尋ねる。
「はい、少し疲れただけです」
ミリアは答える。そして2人は沈黙、ガタガタと揺られる馬車の中、ミリアは口を開く。
「あの………聞かないのですか?」
「何がですか?」
「どうして、私があの場所に入っていたのかを?」
ミリアは尋ねる。普通なら勝手に入っていれば怒られる。しかし何も言わないのは違和感があるからだ。
「そうですね………別に聞く程でも無いですし、ホセ公爵様も怒ってはなさそうでした。アナタが入って行ったのは少し興味が湧いて入り、そこで資料を読んでいたら面白くてつい、寝入ってしまった。と、私は予想します」
ロメロは答えた。
ミリアは少しロメロの言葉に違和感があったが、本当の理由を聞いても教えてくれなさそうだ。話を変更し、ミリアは再び口を開く。
「ロメロさん、私をこの依頼に連れて行ってくれてありがとうございます」
「何がですか?」と、ロメロ。
「この依頼では、色々な事を経験して様々な事を知ることが出来ましたし、それと………決心が出来ました」
ミリアはポケットからクリスティーナ・カイエンから貰ったカモミールのペンダントを取り出し、笑みを浮かべる。
それから………馬車は中央都市アフタヌーンに向かうのである。
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