第197話 ヨハーソン家の歴史Part45
───その夜………。クリスは酒場にてある人物と合流していた。店内は大勢の客で賑わっており、ゴチャゴチャとした活気に満ちた声を響かせる。商人や兵士、そして黒いフードで表情を隠した者など様々な客が出入りし、繁盛している。
クリスは重い様子でカウンター席に腰掛け、隣にいる人物と話をする。
「久しぶりだな、カイト………」
相手はカイト・アルゼイド王国騎士。
「久しぶりですクリスさん。最近の調子はどうですか?」
カイト王国騎士は言った。久しぶりの先輩の再会により、柔らかい表情を浮かべる。今、カイトは騎士としての役割を果たし、レオナルドの命令によって派遣された戦場にて成果を果たし、活躍している。
「色々あってな………お前はどうだ?」
「俺か………戦場全般だから、毎日が大変だよ。クリスさんはどうですか?」
クリスは尋ねる。
「レオナルドが………陛下の事なんだ………」
クリスは、カイトに全ての事を話した………。吐き出すように、怒りによって刻まれた記憶を後輩にぶつけるのである。
「民族、宗教、伝統の規制か………レオナルドさんがそんな事をするなんて………それで口論になって、つまみ出されたんですか?………」
クリスの話に、カイトも思わず不信感。何故ならレオナルドは正義感の塊だ。確かにここ最近、国内から逮捕者が増加しているのはそれが原因だったのか………。
「レオナルドに意見を伝えても、アイツは変わらない。そこでお前に頼み事がある………」
クリスは相談。するとカイトは少し考えて沈黙し、口を開く。
「何ですか?」
「もし、アイツがおかしな事をしでかすなら、俺達で止めるぞ」
クリスはグラスをカランと慣らし、真剣な様子で言った。
「分かりました。俺もレオナルドさんにはお世話になってますから、昔みたいな感じでもう一度………」
「もう一度、何だ?」
クリスは尋ねる。
「そうですね………昔みたいな感じで、正義感が強くて頼もしいレオナルドさんに戻って、そんで勝負したいです。今まで成長した実力をあの人にぶつけたいですッ!!」
カイトは情熱を燃やす。
「ハハハハハッ!!ああ、ぶつけてやれ。アイツは今、陛下としての立場で色々とこじらせているんだろう。アイツに一発、痛いのを与えてやれッ!!」
クリスは笑い、カイトに対してレオナルドに荒療治と言う名の仕置きを進める。
「いいんですか?俺にとって、先輩ですけど?」
「ああ、いいぞ。それか、アイツに一発を与えるなら、お前に訓練する必要があるな………」
★★★★★★
そしてお暇。酒場の外、店前の入口にて………。




