第196話 ヨハーソン家の歴史Part44
────それから、国王陛下の勅命を受けて数日後………時刻は昼。
場所は王都、クリスは大通りを歩いていた。レオナルド国王陛下の変わり様に言葉に出来ない。昔のレオナルドは仲間思い、建国活動の頃は戦い方を教えてもらったり、民族や宗教、伝統を尊重する心優しい奴だった。
一体、何処で変わってしまったのか………。
考えるクリス、すると………。
「ふざけるな、俺は民族派の抵抗運動に協力していないっ!!」
とある男性は複数の兵士達に連行されていた。
「おい、何があった?」
見ていられない状況に、クリスは思わず駆けつけていた。
「この者は逮捕した残党勢力に諜報行為を行っていたので、緊急逮捕したのですっ」
兵士はビシッと敬礼し、答える。
「違う。逮捕された残党勢力と話していた事は本当だが、諜報なんてしていないっ!!」
男性は訴える。
「とぼけるなっ!!なら、証拠を見せてみろッ!!」
兵士は威圧するように事情聴取。
「証拠って………」
「なら、貴様を連行させていただく………」
兵士は男性を連行。
───そしてクリスは走った………。
★★★★★★
────〈謁見の間〉────
「レオナルドッ!!」
クリスは声を上げ、突入した。
「どうした?」
さらにクリスはレオナルド国王陛下の元まで歩み寄り、怒り任せで抗議する。途中、玉座の横にいる護衛兵に臨戦体勢を整えられているが、関係ない。
「やっている事がおかしいぞ、お前の政策で無実の人間が逮捕されて、何もかも無茶苦茶だッ!!」
「それがどうした?疑わしき人間は捕らえよと、皆に命令したのだよ………」
「その命令によって国民から不信感も抱かれるのも時間の問題だっ!!今すぐ政策を取り下げろッ!!」
「ふざけるなっ!!政策を取り下げたら残党勢力が力を増し、王国の治安が悪化する一方になると、この前も伝えたであろうッ!!」
レオナルド国王陛下は怒号を響かせる。
「けど、今の政策では陛下に対する不信は高まり、それが原因で残党勢力に加入する国民も発生するかもしれないと、何故分からないっ!!」
「クリス、貴様は誰に向かって意見をしているッ!!」
クリスの抗議的な発言に、レオナルド国王陛下は思わず玉座から立ち上がり、凄むのである。
「何度でも言ってやる、お前は間違っているッ!!昔のお前は、そんな奴ではなかったッ!!民に寄り添い、民族、宗教、伝統を守るのがお前で、そんなお前は何処に行ってしまったんだッ!!」
激情のクリスは複数の護衛兵に止められ、そして退室させられるのである………。




