第195話 ヨハーソン家の歴史Part43
民族戦争が終戦して、1年……2年……3年の年月が流れていた………。終戦してからは双方の勢力が結集した残党による抵抗運動がたまに発生し、主に破壊工作、自爆テロ、略奪など行う………。しかし、民族軍の影響力は無くなったが、残党勢力は増えつつあり抵抗運動が無くならない。
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───とある戦場、場所は廃棄された町。そこには民族戦争で活動していた残党勢力が潜伏していると情報が入り、カイト王国騎士が率いる部隊が駆け付けたのである………。
残党勢力は為す術もない状況。引きづり出され、広地に並ばされる残党兵達………。
「これで全てか?」
カイト王国騎士は部下の兵士達に尋ねる。
「はい、これが全てです」
兵士は敬礼。そしてカイト王国騎士は残党の兵士達に視線を向ける。すると残党の兵士達は表情を青ざめた様子を浮かべ………。
「お願いします、殺さないで下さい………」
残党の兵士は命乞い。しかし………。
───無慈悲な斬撃の音が響き渡り、空中に鮮血が広がる。王国に仇をなす者は容赦はしない。
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謁見の間にてクリス王国騎士は敬意を払い、任務完了の報告。そしてレオナルド国王陛下は新たに勅命。
───王国における民族、宗教、伝統を規制せよ………。
レオナルド国王陛下は指を差し、そう言った。
「陛下、さすがに無関係の民族は………」
「クリス・ヨハーソン王国騎士、これは命令だ」
クリスの異論をねじ伏せ、威圧感を漂わせたレオナルド国王陛下は勅命の言葉を伝える。瞳の奥からは何処か野蛮かつ好戦的、まるで何かに取り憑かれているかのような威圧感である。
レオナルド国王陛下の勅命に、クリスは我慢出来ず………。
「おかしいぞ、抵抗運動に参加していない者達にそんな命令なんてっ!!」
「これは命令だ。今、国内の治安は最悪だ。運動に影響されて残党勢力に参加する者も出てきている。ここで止めなければ、治安はどうなる?」
レオナルド国王陛下は尋ねる。
「しかし、そんな事は間違えている。昔のお前ならそんな考えはしなかった」
「昔の考えでは、国を動かしてはいけないんだッ!!国を守り、民を導くのが我々の役目だッ!!」
レオナルド国王陛下は強い声を謁見の間全体に響かせる。
「だか………」
クリスは悔しい気持ちになり、拳を握り締める………。
「クリス。俺は国王陛下の立場、お前は王国騎士だ。もう一度言う、これは命令だ………」
レオナルド国王陛下は命令を下す………。
「失礼しました………」
クリス王国騎士は一礼し、謁見の間を後にする。




