第192話 ヨハーソン家の歴史Part40
「まさか、Diablosがおじい様に乗り移って………」
書物の魔力から一旦解放され、ミリアは我に還る。
どれ位、時間が経過したのだろう………書斎室は静かな夜、部屋には誰もいない。ヨハーソン家の歴史を知った今、複雑な気持ちになる。建国の裏には血なまぐさい歴史、知って後悔した気持ちもある。
窓から差し込む月の明り、皮肉にも満月。そして書物のページが差し込むタイミングを見計らうようにパラパラと広がる………。
書物にはページが続いていた。どうやらまだ、続きがあるらしい。
「この先にまだ続きが………」
ミリアはページをめくり、再び書物の中に入るのである。知らなければならない、どうして王国が現在のようになってしまったのか、レオナルド・ミア・シュバルツの孫として、そしてクリス・ヨハーソンがどうしてレオナルドの元を離れたのか………カイト・アルゼイドの真実。
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それから………Diablosを倒した後、時間はあっという間に進んで行った。王国建国における王都や各地域の増設、王国法の創設、大陸西部は変化しつつある。かつて西部戦士団の者達は建国の為、これから王国兵となり忙しい日々に追われていた。
時刻は昼頃………。
王都の中央広場にて戴冠式。広場に集まる観衆、ゴチャゴチャと賑やかな声を響かせ、演説舞台には王国騎士として役職を任されたクリス・ヨハーソンとカイト・アルゼイドが演説台に立ち、観衆達を眺める………。
カイトは観衆達を緊張した様子で眺める。
「お前が緊張してどうする?」
クリスは落ち着いた表情で尋ねる。
「いや………ついに王国が建国されるのだなと思うとつい緊張して………」
「まぁ、この前までは戦っていたからな………あの時の日々が昨日のように思い出す。違うか?」
「そうです………。その、大丈夫ですか?」
「何がだ?」
「自分が王国の騎士役なんて、他のみんなよりは若輩者で………」
「かつての戦士団の皆や俺達が認めている。大丈夫だ、お前ならこなせる」
クリスはカイトの肩を叩き、そう言った。
───演説台に立ち、初代陛下に就任したのはレオナルド・ミア・シュバルツ。レオナルドは観衆に行き届くように声を響かせる。
「ここクロフォード王国の建国を宣言し、レオナルド・ミア・シュバルツが初代国王陛下として宣言するっ!!」
レオナルドは高貴な衣装を身に着け、高々とした声を響かせて宣言した。
レオナルド陛下、万歳っ!!
クロフォード王国に栄光あれッ!!
観衆達は応えるように雄叫びを響かせ、レオナルドの国王就任に支持するのである。
(レオナルドおじい様………)
レオナルドの国王就任に、ミリアは観衆に紛れて歴史的な光景に感銘し、パチパチと拍手をする。しかし、これから起こる事を考えたら素直に喜べない。




