第187話 ヨハーソン家の歴史Part35
応えよ………剣に選ばれし者よ………。
(何だ?………)
レオナルドの頭の中に声が響き渡り、思わず辺りを眺める。しかし誰も彼を呼ぶ者はいない………。
魔を滅し、聖なる光に選ばれし………
レオナルドよ………我に耳を傾けよ………
そのとき、レオナルドを呼ぶ謎の声。その声は耳元で語りかけるより、心の中に直接潜入して伝えて来ている。声からしてはクリス、カイトましてはDiablosによる誘いの声では無いのは明らかだ。
───そして、異変は起こる。
「これは一体?………」
再び辺りを眺めるレオナルド。クリスとカイト、そして立ちはだかるDiablosは時間が停止したかのように止まり、動かない。動いているのはレオナルドただ1人だけだ。
少し瞬きをした同時、レオナルドの景色が一変した………。
「これは………」
───レオナルドのいる場所。漆黒の空間が全体に行き渡り、クリスとカイト、Diablosの姿はまるで存在しなかったかのように消えていた。
とゆうより、レオナルドがこの場所に空間転移したと言った方が良い。
すると………。
待っていたぞ、レオナルド・ミア・シュバルツよ………。
レオナルドの前、空中にフワフワと出現したのは光の玉。声質は老人男性のような声、悪魔ではなく神秘的な精神体である。その声に悪意はなく、力強い。
「アンタは一体何者だ?」
レオナルドは尋ねる。
光の玉は輝きを放ち、声を響かせる………。
我の名は、■■■■■■。魔を滅し、光あらんとする存在だ。お主は何を求める?
「どうゆう事だ?」
我はお主が持っている剣そのものだ。
「俺の剣だと?」
レオナルドは聖剣を片手で持ち、眺める。この剣は確か、クリスから国王陛下の象徴として授かった剣だ。この剣に意思が宿っているとでも言うのか………。
光の玉はもう再び、言葉を響かせる。
もう一度、お主に問う。お主は何を求める?
いきなりこんな場所に連れてこられて、怪しさ満点だが、それでもレオナルドは願う。
「なら、目の前にいる悪魔Diablosを倒す為、アンタの力を貸してほしい」
レオナルドは聖剣を両手で突き立て、構える。今の状況ではDiablosに勝てない所かダメージすら与えられない。
レオナルドの(決意)の宣対し、光の玉は声を響かせる。
よかろう、なら我の名を読むがよい。我が名は………
「クラウ・ソラス………」
レオナルドは、心の中に思い浮かぶ光の玉の言葉に合わせるように読み上げる。同時に聖剣の刃身に(聖)属性の輝きが漆黒の空間中に行き渡らせ、覚醒した。




