第181話 ヨハーソン家の歴史Part29
全ての甘さを捨て、ただ目の前の相手に集中する為、レオナルドは聖剣を片手で構え、駆ける。
───刃から放たれる聖なる輝き、それはまるでレオナルドの意思を示すかのように………。
「女神に召されろッ!!悪魔めっ!!」
レオナルドは表情を凄ませ、叫ぶ。
禍々しい漆黒の輝きを光らせたロングソードを片手で構え、レオナルドの剣撃をガードするギリアム。
「世界の真理は暗闇から始まる………(光)や生命、あらゆる自然の全てのなど本来は(闇)から生まれた存在、貴様は何故それが分からないっ!!」
ギリアムは赤黒いオーラ。猛獣のようにギラリとした真紅の瞳を輝かせ、怒号を響かせる。思想はディアブロスによる(闇)に染まり、何を言っても無駄な状況である。
───レオナルドは跳び下がり、距離を整える。
「分かりたくもないなっ!!悪魔なんぞの崇拝にっ!
!」
レオナルドは片手で聖剣を構え直し、斬りかかる。
「悪魔?否、ディアブロス様は世界の全てにおける破壊神であり、創造神だっ!!もし貴様らがディアブロス様の配下になれば、全てが望むがままだっ!!」
ギリアムは禍々しいロングソードを振るい、火花を散らして刃を交え合う。
ギリアムの言葉にレオナルドは………。
「ここまで来てまた誘いかっ!!そんな手には乗らないよっ!!」
───レオナルドは少し距離を整え、怒号を響かせて突っ込み、聖剣を振り下ろす。聖剣の刃は聖なる輝きを広げ、まるでレオナルドの意思に応えるように………。
ギリアムは禍々しい輝きを光らせ、ロングソードを振るい………。
「がああああああああああああああッ!!」
ギリアムはロングソードごと、レオナルドが振るった聖剣によって全身を両断された………。両断されたギリアムは漆黒の瘴気を放ち、断末魔の叫び声を響かせて消滅した………。
「ハァ…………ハァ…………ハァ…………」
レオナルドは緊張感を漂わせ、肩を上下させて息を整える。
───片手に持った聖剣の刃は聖なる輝きを放ち、それは装備した者の意思の強さにより、力は増す。そして(魔)すら両断する。
ギリアムが倒され、奴の側近である漆黒の聖職者達はレオナルドの威圧感、そして聖なる光に圧倒され、ジリジリと後退させる………。
良き戦いであったギリアムよ…………
後は我に任せるがよい…………
戦場に響き渡る声、世界の全てを支配するような声………。
そして戦場全体、空全体に漆黒の雲。辺り一帯は闇に包まれた。
「ついにお出ましか………元凶が………」
レオナルドは再び気を引き締め、聖剣を構える。




