第171話 ヨハーソン家の歴史Part19
───そして………時刻は朝。ギリアム公爵軍との大規模な戦争を乗り越えてから3日の時間が経過していた。戦争は西部戦士団が逆転勝利、これ以上の争いは不利益と判断し、敵勢力のギリアム公爵側との和平、併合、その他の地位協定などを含めた交渉を行いたい所だが、連絡がつかないので困っている。
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西部戦士団、そして彼らに付いてきた同志達は皆、町中を大規模な改築活動をしていた。これから町は王都に改築する予定であり、国を建国する為、王城を建設中である。
王国を建国する計画、現状ではこうだ………。
───中西部地域には王都を改築。そこから馬で走って3時間の距離、東部地域では中央都市アフタヌーンを計画し、建築している。
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───〈前公爵邸・会食室〉───
「ギリアム公爵とは連絡はつかないのか?」
テーブルに座るレオナルドは言う。
「まあな、公爵がいないから交渉は不可能になっている。全くどうしたものか………」
クリスはタメ息。
「あちらの関係者から話は聞いていないのか?」
「それなんだけど。側近によれば戦争に負けて次の日の朝から行方不明だって話だ………」
「行方不明?」
「そう、どうなったか分からない。このまま話にならなかったら対話なしで併合することになるな」
クリスは言う。少し警戒、貴族が領地を捨てて行方不明はあり得ない。側近ですら行方が知らない、それが不気味で仕方ない。
「そうか………他の地域はどうなっている?」
「順調だ。特に環境が過酷な北東部は徐々に植物が育っているとのことだ………」
「そうか、ついにここまで来たんだな」
レオナルドは腕を組み、安心した様子。ここまで来るのに敵味方双方の血を流したが、それらが報われて嬉しい気持ちだ。大陸統一、王国建国ははすぐだ。
「あと、コレだ。受け取ってほしい」
レオナルドは得物を受け取る。
「制圧した町の教会で貰ってな………お前が王様として相応しいし、象徴としてこの聖剣を受け取ってほしい」
「俺が王様か………なら、この聖剣に恥じぬように務める。共に着いて来てくれないか?」
レオナルドは片手で聖剣を抜き、輝く刃を眺めながら口を開く。
「今更かよ………同胞達はお前と共にあるし、これから苦労はする。その度にお前は俺や同胞達を頼ればいい………」
クリスの言葉にレオナルドは………。
「ありがとうよ、相棒………」
レオナルドは言った。
(フフフ………)
幻想体のミリアは2人の光景を眺める。2人はまるで友人関係のままであり、歴史的な光景ではあるが微笑ましい気持ちになる。




