第170話 ヨハーソン家の歴史Part18、悪魔降臨
「さて、最後の試練だ………皆の者よ、ここまで耐え抜いた巫女に盛大な感謝を………死を迎え、終焉から暗闇の下に召されてもDiablos様は巫女を寛大に迎えるでろう………」
司祭ギリアムは最後の1本の宝剣を持ち、巫女の心臓にキラリと刃を突き立てて狙いを定め、そして………。
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───イスに拘束された巫女は右肩と左肩、右太ももや左太もも。そして最後は心臓に刃が突き刺さり、全身に生き血を行き渡らせて絶命した………。地面に描かれている詠唱文に血が行き渡り、純白の羽衣は紅に染まり、惨い光景である。
人の(死)の光景に信者達は怯えたり気持ちを取り乱す事はなく、落ち着いた様子で………。
巫女様、立派でございます…………
暗闇に召されてもDiablos様もお喜びになるであろう………
信者達はボソボソと言葉を出し、祈る。巫女に選ばれるのは名誉。(死)ではなく神の下僕となり、語り継がるのである。
「さて、これにて儀式は終了………本来、我々こそは………」
たリヌ………ワレに全てを………
こノセカいを………コの全てを………我に
それは獣のように………この世界に存在していけないような………まるで全てを支配してしまうかのような不気味な声だった。礼拝堂全体に響き渡り、渇いた空気が張りつめる雰囲気だ。
「何者だっ?」
ギリアムは辺りを眺めるが、誰もいない。イタズラに声を出したとしても、こんな声は出ない。
我の声を聞いて分からないとは愚かな者達だ………。
徐々にハッキリとしてきた謎の声。
───その時、全てのロウソクの灯りが赤から不気味な青い火に変化し、燃え盛る。
何だ?何だ?………。
突然の異変に驚愕し、辺りを眺める信者達。不気味な声は信者達の心に流れ込むように………。皆は謎の声の恐怖により、背筋や額から冷や汗がポタポタと行き渡る………。
我の名は………Diablos。
(終焉)(暗闇)(死)を、無限を司りし支配者である………。
すると、巫女の死体に突き刺さっている5本の宝剣が一斉に抜け落ちる。
「よこせ、貴様らの魂を………」
巫女の死体は全身に青い炎を燃え盛らせ、そして姿を変身させる。
頭部には2本の角に蒼色の三白眼、鋭い牙。
全身は漆黒の鱗肌、広背には漆黒の翼が生え、身長は3メートルを誇り、ガッチリした体格。
ああ、Diablos様………
何て神々しい姿を………
信者達はDiablosを崇める。
「なら、我を崇拝する者達よ。我の下僕となれ………」
Diablosは左手を掲げて唱え、信者達を下僕に変身させた。信者達は赤黒いオーラを漂わせ、漆黒の聖職者となる。




