第169話 ヨハーソン家の歴史Part17
───司祭の言葉を終え、タイミングを見計らうかのように(それ)は現れた………。
すると、包帯で視界をグルグルと巻かれた女性が信者達に連行される形で台座に歩み寄る。衣装は信者達とは裏腹な純白の羽衣を着用し、信者達を眺める………。サラリとした黒髪、容姿は20代前半である。
司祭は女性の前に立ち、信者達に言う。
「皆の者よ、これからDiablosに選ばれし者による儀式を行うッ!!彼女は神の巫女、選ばれた者は光栄とも思えようっ!!」
司祭は高々な声を響かせ、巫女を崇める。
ああ、巫女様………
選ばれし者よ………何て美しい姿………
───信者達は巫女をヒソヒソと声を出して崇拝し、黙々と祈る。
「これから彼女は神の下に召され、神の下僕となる為に供物となる。皆の者よ、巫女となる彼女を崇めよっ!!」
司祭は熱意ある言葉で言った。
これらは彼等にとっては名誉な事であり、そしてこれから行われるのは………。
3人の信者が台座に駆けつける………。1人は背丈が高いイスを持って来た。もう1人は5本の宝剣を持ってきた。あと1人の信者は巫女を用意されたイスに座らせる。カチャカチャと音を響かせ、鎖で巫女の両手両足をイスに固定して拘束した。巫女は両手両足を動かし、身動きは不可能。
───フードを脱ぎ、司祭は高々とした口調で1本の宝剣を持って叫ぶ。
「よく崇めよ、Diablosは贄を求めているッ!!彼女は今宵の贄であるッ!!」
正体は西部地域を支配していた公爵貴族ギリアム・マクミラン。ボサボサとした黒髪、不気味な紋章を描いたペイントを額に塗り、まるで悪魔のような姿だ。
彼は悪魔崇拝者であり、暗闇や終焉、死を司る悪魔こそ神様だと崇めている。
そして宝剣を持ったギリアムは………。
───ッ!!
巫女の右肩にギリアムの刃が突き刺さる………。
刺された右肩からはドクドクと生き血が行き渡り、純白の羽衣が赤く染まる………。
「神に血を捧げよッ!!」
ギリアムは叫ぶ。そして次は………。
───ッ!!
巫女の左肩に刃が突き刺さる。激痛に叫ぼうとするが、口に布を噛ませており、声を出せない。
「まだ神は足りぬ。神が満足出来るまで息を引き取る事は許されないッ!!」
ギリアムは情熱的に叫ぶ。次は右太ももと左太ももに宝剣を一気に突き刺す。
───ッ!!
巫女は地獄の痛みにより、叫ぶ代わりにジタバタと暴れる。イスからは行き渡る巫女の生き血、そして地面に広がる。吹き出す巫女の生き血は、詠唱文が描かれている地面を支配するかのように広がる。




