第168話 ヨハーソン家の歴史Part16
───時刻は深夜帯、満月が夜空を照らしている。
その頃、場所は大陸の最西端の地域に位置する山岳地帯。山の中にある遺跡洞窟、ゴツゴツとした岩肌が全体に行き渡り、空気はジメジメとした空気が充満し、地面や壁には虫。
───〈洞窟礼拝堂〉───
礼拝堂では結婚式やミサや神父の説法を行う場所だが、しかしその光景はそれらとはかけ離れている………。
その遺跡洞窟を深く進めば黒い修道ローブを被った信者達。黒い修道ローブはまるで悪魔を表しているかのように………。信者達は膝を付いて手を合わせ、薄暗い礼拝堂にてロウソクがポツポツと灯され、不気味な雰囲気を漂わせ、縦横に整列して祈りを捧げていた。
───信者達は祈りを捧げ、唱える。
(終焉)は新たな始まり………
(暗闇)は全ての母となり………
(死)は生きとし生けるものの終焉………
信者達はブツブツと音読する………。
正面には演説台。床全体には生き血を滴らせたような真紅のじゅうたんが敷かれ、そして漆黒の神官コートを着用した司祭らしき人物が演説台に立ち、信者達を眺める。
「諸君、今宵も我が神聖なる儀式に出席して頂き、君達の集まりに感謝します」
司祭は言った………。
(暗闇)は全ての母となり、(終焉)は新たな始まり………。
音読する信者に対し、さらに司祭は両腕を広げて口を開く………。
「そうです。この世の始まり、全ては暗闇から始まるのです。終焉を迎え、暗闇が始まり………そして光が生まれて(死)にたどり着く。これが無限なるDなのです」
司祭はペラペラと宗教的な説法を開始する………。
(死)は生きとし生けるものの終焉………
(終焉)は新たな始まり………
(暗闇)は全ての母となり………
司祭は神書を広げ、口を開く。
「そう、お気づきでしょう。全ての法則はどんなに並び替えても繋がっているのです。Dは全ての終わりであり、全てはそこから始まるのです」
信者達の音読に対し、司祭は熱弁する。
───信者達はさらに祈りを捧げ、音読を続ける。
Dの神、Diablos………
(終焉)と(創造)を司る神、Diablos………
「Diablosこそ、我々こそ崇めるべき神である。始まりから終焉、終焉から始まりへ………全ては繰り返される運命なのです。この世界は一度、終焉を迎えるべきだと………。だが心配はない、我々は終焉を迎えていてもDiablosを崇めていたら神の下に生まれ変わり、再び人間として導かれるであろう………」
司祭は高々と熱弁するのである。




