第167話 ヨハーソン家の歴史Part15
私は3人の光景を眺めていた。この記憶の中、ミリアの存在は幻想体のような存在であり、他の人達からは見れない………。書斎室の書物のページに意識を吸い込まれ、この記憶の中にて、シュバルツとヨハーソンが(その日)(その時間)(その場所)で何があったのかが見られる。これまでミリアは、レオナルドとクリスの軌跡を見えない場所、幻想体として影から見てきた。
───その軌跡はあまりにも血生臭くて壮絶。皮肉にも国の歴史は幾多の血の積み重ねであり、近世にて生きている人々はその上に立ち、生きている。
「ハァッ!!」
「踏み込みが甘いッ!!」
カイトとの訓練、クリスは刃を交え合って怒号を響かせての指摘。しかし………良い剣筋をしている。これは鍛えたら将来は楽しみだ。
★★★★★★
ミリアはクリスとカイトの訓練を眺めていた。
(カイト・アルゼイド………)
ミリアはカイトを見て思う。彼は有名であり、謀反を企んだ国の反逆者であると歴史に記されていた。この少年が………未来の反逆者。が、処刑ではなく最後は何者かに暗殺されたらしい。
2人の光景が、かつて私とアンゼシカの仲のような雰囲気に似ている………。
★★★★★★
そして軽く訓練を終え、クリスとカイトは並んで座み込んで会話。
「訓練に付き合って下さってありがとうございます」
カイトは言った。
「ま、お安い御用だ。お前は何故、戦士団に加わった?」
クリスは尋ねる。
「はい、2人の背中を見ていたら憧れたからです」
「そうか………ま、憧れるのはいいが、せいぜい死なない事だな………」
クリスは言う。
「はい。死なないように、またクリスさんやレオナルドさんにご指導をお願いします」
カイトの言葉にクリスは………。
「コイツは………」と、クリスはくすぐったい気持ちでカイトのポンポンと頭を軽く撫でるのである。一方のカイトは(ヘヘヘっ………)と、笑う。コイツ(カイト)を見ていたら、何か自分達に弟が出来たみたいだ。
そして………。
───〈中央広場〉───
町の中央広場にて、戦士団は死体袋に入れた戦死した兵士達を積み重ねていた。これから、戦死した同胞達を弔う為、葬礼を行うのである。
「天に無事に召される事を祈る………」
代表の兵士は積み重ねられた死体の山にタルに入った油を注ぎ、火が燃え盛る松明を灯す。
「戦場に散った同胞達に敬礼ッ!!」
レオナルドは声を上げ、葬礼に参加する兵士達は戦死した兵士達を見送るようにビシッと敬礼。炎が燃え盛る死体の山。煙は大空に登り、パキパキと燃え盛る音を響かせる………。




