第163話 ヨハーソン家の歴史Part11
───その頃、場所は東西に分かれる境界線にある平原地帯、戦火に包まれていた。皮肉も天気は爽快、日差しが平原に広がる………。
戦場に充満する砂塵、互いの勢力が衝突。
───ッ!!
レオナルド率いる西部戦士団、西部地域を支配しているギリアム率いる公爵私設軍は交戦中である。勢力は西部戦士団が15万弱、一方のギリアム公爵私設軍は30万名。戦力差は圧倒的である。
「クソがッ!!」
騎乗馬に乗り、レオナルドはランスを振るって敵兵を撃破。
圧倒的な戦力差に戦士団は後退しつつある。地面に広がる戦死体、しかし同胞達の死体が多い。訓練兵、新兵、負傷兵によって集めただけでは、戦争が本職である敵兵には勝てないからだ。
「勝利は我々にアリだッ!!」
───ギリアム公爵軍の兵士達はランスを掲げ、空気中に熱した土煙を充満させ、前進。
勢いが止まらないギリアム公爵軍。敵である兵士達を次々と撃破し、士気を上昇させる………。
「イヤだ………死にたくないッ!!」
敵兵の勢いに自分の命を優先し、背を向けて逃亡する兵士達も………。
「待てっ」
1人の兵士が引き止めようと声を掛ける。しかし。
「戦場から逃げるんじゃねぇッ!!」
敵兵は容赦はしない。敵前逃亡を前にする兵士を斬り伏せる。
「うわさの西部戦士団はこんな物かッ!!俺達が代わりに大陸統一して、国を作ってやるよッ!!」
高い士気を漂わせ、敵兵は歓喜する。
───そしてひすら前進。敵を撃破しつつ前進。
状況不利な西部戦士団から見てみたら、ギリアム公爵軍の威圧はまるで人ではない巨大な(何か)を相手にしているかのようだ。
ヤバい、このままでは………。
レオナルドは後退しつつ、これ以上に前進させない為、最低限に敵兵を撃破。しかし、全てを防ぐ事は出来ず、敵兵は高い士気を漂わせ、前進していく。
ギリアム公爵私設軍は残忍かつ冷酷非情で有名である。捕らえた敵は処刑、または奴隷として強制労働させ、外国や各地域に奴隷貿易で儲けていると聞く。
───敗北は、死んだ方がマシと思える程、残酷な性格なのだ奴は………。
(クリスは………失敗したのか………ま、今までこの心に血を積み重ねてきたんだ。報いを受けるんだろうな………けど、アイツを誘ったのは俺だ、報いは俺が受けるのが筋だろう)
額に返り血を行き渡らせ、レオナルドは苦笑いを浮かべ、タメ息。爽快な空を眺め、これまでの活動を思い出す。こんな状況なのに今日の天気が爽快なんて実に皮肉だ………笑える。
俺は敵に捕らえ、処刑されるだろう。けどクリス、お前はこのまま逃げて生き延びてくれると祈る。




