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第162話 ヨハーソン家の歴史Part10




 その頃、クリスは………。


───南西部、場所はピエール公爵邸の会食室。気品に満ちた雰囲気、床は緑のカーペットが広がり、壁には絵画や騎士姿の甲冑が飾られている。クリスはピエール公爵に対し、交渉を開始。協力を得れば20万の増援。交渉の失敗は西部戦士団の壊滅を意味する。


 クリスはこちらの意見を伝える。王国建国に協力し、併合すればピエール公爵の地位や利益は不変。地域における宗教、伝統、文化は守ると伝えた………悪くない話である。交渉はうまく進む、そう思っていた。


「断る………」


 ピエール公爵は言った。年齢は50代、体型は中肉中背の紫髪、メガネを着用して特徴的なちょび髭。そして気品ある紫の貴族コート。


「待ってくれ、悪くない話だろ?併合後になっても利益や地位、伝統や宗教、文化は尊重する。それに、北中部が壊滅したら、西の奴らは次はアンタの所にだな………」


「知らぬ、仮に進行をしてきたとしても対処はする。お前達の事なんぞ、知った事ではない」


 ピエールは腕を組み、窓を眺めて言った。


「そこを何とか………」


 クリスは焦り始める。


「分かったなら、お引き取りを願おうか?」


 このままでは交渉は決裂し、戦場にいるレオナルドや仲間達はギリアム率いる貴族軍に皆殺しにされてしまう。するとクリスはテーブル席を離れ、土下座の体勢を整え、床に頭をゴリゴリと着ける。


───こうなったら自棄だ………。


「お願いだッ!!俺の事はどうなってもいい、仲間を助けてくれッ!!」


 クリスは室内に響き渡るように叫ぶ。


 ピエールは冷静な表情を浮かべ、土下座をしているクリスを眺める………。


「俺達は何も分からないただの若者だッ!!辺境の村から出奔して、ひたすら地域を併合して、ただ王国を作る事だけを考えてやってきたッ!!この活動は俺の責任だ、活動に付き合ってる仲間達は関係ない、アイツらに未来を与えてくれッ!!」


 クリスは………叫ぶ。まるで泥をすするように、ただ泥臭く、醜い姿を見せるように………。しかし、仲間達の為なら、何だってやる。


「………そこまでして、どうして我に協力を求める?」


 ピエールは尋ねる。


「それは………最初はただ地域を併合をしていて、その中には領主の支配によって苦しむ人々がいて、王国を作る際、俺達は民の事を考え、そんな国王になりたいと………」


 クリスは答えた………。


 クリスの答えに対し、ピエールは冷静な表情で口を開く………。


「交渉がなってないな………まずは君、交渉する上、相手の事を考え、双方の利益を考える事が基本だ。君は自分の考えを感情的に相手に押しつけ、君は与えるばかりだ………」


 ピエールは言った。

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