第161話 ヨハーソン家の歴史Part9
処刑後………。
案外、持ち堪えられなかったな………謀反を企む者として、もう少し長く持ち堪えて欲しかったな………。
★★★★★★
───〈前・領主邸会議室〉───
レオナルドとクリスはテーブルに勢力図を広げ、前領主公爵邸の会議室にて話し合っていた。話の内容は次はどの地域を制圧をするのか………広い領土を誇る西部地域、南西部地域だけである。しかし、南西部地域を支配しているピエール公爵貴族は宗教と伝統、文化を大切に守っている為、対話での併合は心配だ………。
───次は西部の地域。大陸西部では最強を誇る軍事力、兵力は30万。対話での交渉はほぼ不可能、ギリアド公爵は好戦的で同じく大陸統一を目指し、東に進軍している為、衝突の可能は高い。
「全面衝突は、避けられないな………」
レオナルドは地図を眺め、真剣な表情。
「コチラは兵の数は15万位だ。それだけではない、今まで集めた兵士は経験が浅い者ばかり、このまま南西部の奴らと戦争したら犬死にだ」
クリスは言った………すると、会議室に入って来たのは同胞の戦士団兵。表情は焦り、額からは汗。西部の地域、進行開始の警護を任せていたが………。
「申し上げます。西部の領主軍がコチラに進行開始し、コチラに向かってきますッ!!」
「何だってッ!!」
警護兵のセリフにレオナルドとクリスは驚愕した。
最悪、予想より早すぎる行動だった。訓練兵士と現役兵、新人兵を合わせても15万名。それだけではない、町民を救護活動中の兵士や負傷兵を含め、戦力が整っておらず、タイミングは悪い。
───時間は待ってはくれない、それは自然の節理。
このままでは我が戦士団は犬死に、急いで南西部地域の領主と交渉をする為、クリスは単身で馬を走らせ、向かう事にする。今、戦える兵士は15万弱、これまで二手の戦士団に分かれ、武力的な対話は不可能である。
レオナルドが率いる西部戦士団は、西部と東部の境に15万の軍を配置。望みは、クリスがピエール公爵と上手く協力関係を築き、駆けつけてくれる事だ。
「後は頼んだ、クリスよ………」
空を眺め、馬に乗っているレオナルドは呟く。交渉が上手くいかなければ………(死)である。
残された時間は持って3、4時間………。
「おい、アレを見ろよッ!!」
兵士達は指す先、それはギリアム公爵による私設軍隊が熱した士気を漂わせ、進軍を開始。規模は30万、平原が人影により黒く染まっている。
それに対し、こちらは新兵や訓練兵、軽傷兵を引っ張り出して15万弱である。




