第159話 ヨハーソン家の歴史Part7
「レオナルド様、クリス様。少し意見を聞きたいのですが………」
2人の元に部下の兵士が駆けつけ、ビシッと敬礼して尋ねる。
「どうした?」
レオナルドは真剣な表情で部下に視線を向ける。
「先程、捕虜となった兵士達の処遇についてですが………その、彼らが仲間に加わりたいと………」
「そいつらは信用出来るのか?」
レオナルドはギロッと強い眼差しで疑う。何故なら捕虜が仲間になれば謀反を計画しているかも知れないからだ。
───2人は腕を組み、捕虜の兵士達の処遇について慎重に考える………一歩間違えたら戦士団が崩壊する。そして結論を出すのである。
「公爵私設軍に所属していたカルロスと申します」
ビシッと敬礼したのは屈強な兵士。長身、逆立つ黒髪の男性兵士である。
「うむ。大陸統一を果たす為、共に頑張ろう」
レオナルドはカルロス新兵、そしてその他捕虜の兵士達と固い握手を交わし、絆を確かめる。戦士団に入隊した捕虜兵士は合わせて10名を迎えた。
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────夜、レオナルドとクリスが休息している兵舎前にてスラっとロングソードを抜き、建物の影からヘラヘラと様子を伺っているのは複数の輩達。正体は今日、戦士団に入隊した捕虜の兵士達である………。
「へへ、公爵様の仇を討ってやる。バカな戦士団だ、捕虜を軽々と仲間にするなんてよ………なぁ?お前だってそうだ………」
目的は雇われていた公爵様の仇討ち、リーダーを殺害して西部戦士団を乗っ取り、町を再び支配して公爵様以上に良い生活してやる。と夢を膨らませ、同志達に意見を伺おうとカルロスは振り向くと………。
「誰がバカだって?………」
背後には………西部戦士団の兵士達。公爵私設軍の兵士達を拘束し、状況とは裏腹に優しい声でカルロスの肩を叩くのである。
「へっ?………」と、カルロスはマヌケな声。
「俺達が気づいてないと思っていたのか?」
戦士団の兵士達は威圧感を漂わせた声。簡単な事、捕虜達が変なマネをする可能性がある為、同胞達に監視を任せていただけだ。謀反を企てず、真面目に我が戦士団に加わっていれば良いモノを………場合によっては良い生活を送れたかも知れない。しかしこうも早く謀反者が見つかったので、それは傑作だ。
───謀反を行うなら、もっと計画的に上手くやれと言いたい。
「ハハハ、何かの間違いで………」
カルロスは冷や汗を流し、声を震わせる。助かる為の言い訳を考えるが、まるで水湖の中に落ちた指輪を探すような緊張感が張り詰め、思いつかない。




