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第149話 深夜にロメロ




「ミリアさん」


 それはアンゼシカ(真美)にとっては救世主であった………深夜の廊下に響き渡る声。

 

 ミリアの後ろから声。彼女は振り向き、銅像の前に立ち止まる。ロウソクの灯りは銅像に身を潜めているアンゼシカ(真美)を照らす。もしミリアが銅像に視線を移したら見つかる。


「こんな時間に何をなされているのですか?」


 窓から行き渡る月明かりに照らされ、声の正体はロメロ。


「ロメロさん………少し見回りを兼ねたお手洗いに………」


 ミリアはロメロにロウソクを照らし、適当な理由を話す。本当の理由は話せない。



(チャンスっ………)


───ミリアの視界から離れたこのスキに………。アンゼシカ(真美)は音を置き去るようなスピードで走る………。なお、彼女が向かう場所は分かっている為、心配はない。カーペットを踏む足音は消え、深夜に吹き付ける風の音にすら勝る。


 大丈夫、気づかれていない。多分………。



「見回りですか………それはご苦労な事です。今は深夜、他の招待客の迷惑にならないように部屋に戻る事をオススメします」


 ロメロは言った。銅像から(何か)が跳び出したが、それは気にしない方が良いでしょう。と、納得する。


「ありがとうございます。ロメロさんはどうしてここに?」


 ミリアは尋ねる。


「私もただの見回りです。夜は夜襲を仕掛ける絶好のタイミング、そんな事を考える奴らはいますからね………」


「油断は出来ないって事ですか?」


「特に今は国内で反民族支配主義のテロ組織が活発しています。彼らにとって貴族は思想アピールを示すのに格好の獲物です、襲撃して資金を得たり、反民族支配をアピールしたり………この依頼も王国政府を仲介してギルドに依頼していますが、どこに情報が流れている可能性も………」


 ミリアはゆっくりとした足取りで立ち去る。一方のロメロは自分の世界に入り、ペラペラと硬い言葉で説明を繰り広げる………。2分、3分………ロメロの説明は止まらない。この説明を最後まで聞いていたら夜が明けてしまう可能性がある。


「あれ、ミリアさん?………」


 ロメロが説明を途中で止め、キョロキョロと辺りを眺めるとミリアの姿はない。どうやら逃げられたようだ。と、残念な様子のロメロ。しかし、彼女が向かう場所はだいたいは予想は出来る。落ち着いた足取りで(その場所)に向かうとする。



───そして………ミリアはロメロを振り切って深夜の廊下を歩いていた。同じような扉、同じような景色が廊下に行き渡り、まるで迷いの館。


 

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