第145話 ダンスパーティ終了
それから………夜の社交パーティはお開きとなり、招待客達は談笑しながら客室に戻るのである。今宵の社交パーティは成功、招待客はダンスパーティに満足した様子で会場を後にする。メイドとダンスを披露したアルフレッドが話題になったかならなかったか………。
───お休みなさいませ………。
会場の入口にて他の使用人達は並び、次々と退室していく招待客に敬意を払って頭を下げて見送る。
するとアルフレッドとクリスティーナは立ち止まり、入口前に並ぶ使用人達の中にいるミリアに視線を向ける。
「今日は楽しかったよ」
アルフレッドは感謝。
「お休み、おねーちゃん。あとコレ、おねーちゃんにプレゼント」
クリスティーナはミリアに(何か)を手渡す。
「これは………」
(何か)を手にするミリア。それは白のカモミールの形で精製した白銀製のペンダント。
「おねーちゃんが、仲直り出来るようにお守り、じゃおやすみっ」
一言を残し、クリスティーナは小走りで会場を退室して兄のアルフレッドを置いていく。
「全く、アイツは………アリシア、今日はありがとう。君のおかげで苦手だったダンスが少しは克服出来たよ。もし行くところに困ったりしたらカイエン家のメイドにどうだ?うちのクリスティーナも君に懐いているみたいだし、正直に言えば僕も君をメイドとして………」
アルフレッドは言う。
「それは………私は冒険者でこの仕事も1軒の依頼で………」
「そうか………気が変わればカイエン家はいつでも君を歓迎するよ。僕やクリスティーナも………じゃおやすみ」
アルフレッドは会場を退室するのである………。
そして小さく呟く。(メイドとしてではなく、1人の許嫁として………君には側にいてほしい。そんな事は言えないよな………)。しかし、アリシアは貴族ではなく冒険者。身分が違う為、婚約は許されない。
★★★★★★
それから………使用人達は会場の後片付けの作業をしていた。テーブル席の後片付け、残りの料理を下げたり、会場の床を掃除する。
「ふぅ………」
ミリアは疲れた様子でタメ息を吐き、ホウキを掃いて床を掃除。朝から昼はパーティの準備と招待客の世話、見守り業務。夜は社交ダンス、招待客の世話や会場の見守りや招待客のダンス相手。色々とあって全身に鉛のような重さの疲労感が行き渡り、眠気。
すると、ミリアの所に………。
「お疲れさま、ミリアさん」
コッソリとロメロが歩み寄る。
「ロメロさん、今日は1日お疲れさまでした」
ミリアは言った。全身に疲労感、そして重い瞳が上下する眠気にムチを打ち、挨拶。




