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第143話 指摘し合うカイエン兄妹




 2人はクリスティーナのいるテーブル席に戻るのである。


「お疲れさま、お兄様っ」


 2人の前に妹のクリスティーナが歩み寄る。


「妹よ、我が兄のダンスはどうだった?」


 アルフレッドは自慢気に尋ねる。何故ならダンスで良い気分になれたのは初めてであり、この気持ちを誰かに伝えたい。


 クリスティーナは腕を組み、口を開く………。


「ダンスが苦手なワリには大したモノです。けど、アリシアがいて成り立って生まれたんだと思う」


「ハハハ。我が妹、厳しい言葉だな………」

  

 クリスティーナのズバッとした指摘にアルフレッドはガクッと肩を落とし、深くタメ息を吐くのである。


 確かに招待客からダンスの技術で物珍しい瞳で注目されたのはメイドのミリアの方である。しかしアルフレッドは、保守的な貴族達からは(メイドにダンスをリードされるのは貴族として風上にも置けない)(貴族として情けない)(カイエン家は躾がなってない)などと厳しい評判を得ている。


「アルフレッド様のダンスは基本は素質はある方だと?後は自信を持てば良いかと………」


 ミリアは言った。


「自信か………」


 ミリアの言葉にアルフレッドは怖気付いた様子でポリポリと頭を掻く。今、先程のようなダンスを披露して下さい。と頼まれてもそれは無理である。何故ならあのダンスはアリシアと一緒にいて成り立った結果であり、自身の勢い任せであり、運の要素もある。


「アルフレッド様、ただ上手にダンスを披露するって意識したらダメです。大事なのは、自分が楽しいダンスをするのが大事です」


 ミリアは言う。貴族の社交辞令のダンスとしてはなく、庶民的に(ダンスの楽しさ)を伝える。


 するとアルフレッドは………。


「そうだな………君には色々と大切な事を教わったよ。今までの僕は社交辞令としてダンスを見ていたが、君の意見を尊重するよ」


 アルフレッドは固い口調を吐いて答えた。


 アルフレッドの言葉にクリスティーナはグイッと背伸びして………。


「相変わらずお兄様は固い表情をしています。ここは少し柔らかい言葉で、楽しくダンスをしたいと言えば良いのです」


 クリスティーナはムスッとした様子でアルフレッドの両頬をギュッと指で掴み、言った。


「お前の場合、もう少し貴族の女性らしくお淑やかにするべきをだな………」


 アルフレッドはクリスティーナに両頬を掴まれながら固いセリフでささやかな指摘。


「そして余計な指摘ですっ」と、少しイラッとしたクリスティーナは軽く兄のスネを蹴る。


「そうゆう所だぞ………」


 アルフレッドは再度、指摘。


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