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第139話 ダンスが苦手なアルフレッド





「さて、ながらくお待ちしました。今宵はヨハーソン家が主催するダンスパーティに参加して頂き、ありがとうございます。只今より、ヨハーソン家伝統のダンスを、貴族や平民などの身分を忘れて楽しんで下さい」


 ホセ公爵は宣言。


 

 そして会場中、演奏団によるクラシックな音楽が響き渡る。クラシックな音楽に合わせるように招待客達が社交ダンスを披露する………。


───一方、ミリアとクリスティーナは招待客のダンスの光景を眺める。ミリアはメイド、クリスティーナは年齢の為、参加は出来ない。するとクリスティーナは口を開く。


「お兄様は踊らないのですか?」


 クリスティーナは尋ねる。


「いや………ボクはな………」


 クリスティーナの言葉に対し、アルフレッドは返す言葉に困惑。気持ちはドキドキ、本来は社交パーティは苦手であり、自身より身分が低い貴族から敬意の挨拶に頭を下げられ、他の貴族達から見合いを申し込まれたり、緊張で吐き出しそうな体調である。


 すると………。


「アルフレッド様、私とダンスの相手をしてくださいますか?」


 1人の女性貴族はアルフレッドに駆け寄り………。


「いえ、私よっ」


「ズルい、私よっ」


 続くように、2人の女性貴族が駆け寄る。そしてアルフレッドの両袖を掴み、3人の貴族女性は彼を取り合う。


「その、ボクは………」


 アルフレッドは女性達の情熱的なアプローチに緊張した様子で………。


「さ、行きましょアルフレッド様っ」


───貴族女性達によりアルフレッドはダンスしている招待客の中に連行される。一方、妹のクリスティーナは(がんばってお兄様っ)と、笑顔で手を振って健闘を祈るのである。


 しかし………。


 ダンスから帰って来た女性達はタメ息………。何処か残念かつ損したような表情を浮かばせ、足早に歩き去る。


「その………ご苦労さまお兄様」


 クリスティーナは気を使い、アルフレッドに励ましの言葉を掛ける。


「ハァ………」


 アルフレッドは沈んだ気分、重い足取りで2人の前に戻ってきた。


「お兄様、ダンスの技術は………進歩していませんね?」


 アルフレッドのダンスを見ていたクリスティーナはタメ息を吐きつつ呆れ返り、指摘。


 アルフレッドはネガティブな表情を浮かべ、口を開く。


「そうなんだ。女性とダンスをする時、緊張して足が震えてしまうんだ………ボクはカイエン家の恥だよ………父上や母上には何て言ったら………」


 アルフレッドはブツブツと呟く。彼はダンスが大の苦手、女性とダンスをしても緊張で思うように踊れず、毎回のパーティでは女性に恥をかかしてしまう。

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