第135話 クリスティーナを褒めるミリア
「そう言えば、彼女は何者だ?」
アルフレッドは尋ねる。
「お姉ちゃんは、私、散歩に付き合ってくれたメイドなのです。それで私が、お姉ちゃんの人生そ~だんをしていた所なのですっ」
クリスティーナはビシッと説明した。
「人生相談って………何を相談をしていたかは分からないが………とりあえず、ウチの妹が世話になったようだ。君に感謝を致します」
アルフレッドは少し呆れつつミリアに歩み寄り、礼儀正しく頭を下げる。
「頭を上げて下さい。メイドとしてクリスティーナお嬢様を楽しませる為、行ったまでです」
ミリアは両手でスカートを軽く上げ、王族伝統の礼儀作法で対応する。
ミリアの礼儀作法に、アルフレッドは何か見覚えがある様子を浮かべて………。
「うん?…………君、名前は?」
「アリシアと言います。ただのメイドです」
ミリアは答えた。
「君は………どこかで会った事はあるか?」
アルフレッドはミリアを見て眺める。ただのメイドに、見覚えは………。
「それは………」
ミリアは思い浮かべる………失礼ながら全然、覚えてない。
「ま、人違いだったな。君が少しミリア姫に似ていてな………」
アルフレッドは納得した。あれは3年前の王族主催の社交パーティでミリアに敬意を払って頭を下げる複数の少年貴族の中の1人だった………。ミリア姫は覚えてないし、彼女はクロフォード王国の姫君であり今は休養中だが女王陛下と言う立場だ。こんな所でメイドをしている訳ないか………。
「2人共、何の話をしているのですの?」
クリスティーナは興味深々に尋ねる。
「それはな、お前がもっと落ち着いた貴族になれって話をしていたんだよ」
アルフレッドは誤魔化した。何故なら深刻な話ではないからだ。誤魔化した話で妹をイジるのは面白い。
「失礼な、わたくしはいつでも落ち着いた貴族です。そうですよね、アリシア?」
アルフレッドの発言に、クリスティーナはムスッとした表情でミリアに尋ねる。
「はい、クリスティーナ様は子供っぽい所はありますが、大人顔負けの真剣に向き合う性格を持ち合わせていて、将来が楽しみなお嬢様でございます」
ミリアは答えた。
「え、私が………」
「ほう?」
アルフレッドは腕を組み、頷く。
「そんな事を言われると………わたくしは………」
ミリアのセリフに、クリスティーナは両頬を押さえ、デレデレと照れるのである。
「私も、クリスティーナお嬢様にとある事を相談してもらい、決心がつきました」
ミリアは言った。何せ本当の事である。




