第125話 ホセ・ヨハーソン公爵
───〈ヨハーソン邸・大広間〉───
ミリアは控え室で使用人ドレスを着用した後、ロメロと一緒に大広間で10名の執事達と集合。老執事から社交パーティーの準備について説明を受けていた。ヨハーソン家主催の社交パーティーは春の季節、夏の季節、そして年越し記念日に行われる。
───季節は夏、今年2回目の社交パーティである。
なお、ヨハーソン家の社交パーティーは貴族だけでなく、町で功績を称えた人が招待され、大変名誉な事である。
───掃除する場所は招待客の客室、休憩室、中庭や大広間。次は花飾りを行い、中庭にて料理を運び、入口にて招待客を迎えつつ、怪しい者が潜んでいないか、館周辺の警備である。
すると、紅いじゅうたんを敷いた階段を降り、大広間に現れたのは領主のホセ・ヨハーソン公爵である。ボリューム感ある赤髪、勇ましい瞳。容姿は50代前半、気品感ある貴族衣装を着用。
ホセは穏やかに口を開く………。
「使用人諸君、一部雇った使用人も含め、ご機嫌よう。この物騒な世の中、社交パーティが無事に行う事ができ、最愛の町民達が仕事に恵まれ、豊かな暮らしを守れた事を領主として喜ばしい限りである。民の喜びは我々の喜びであり、民なくしては我々は栄えない。最近、国内ではテロ事件、ましては東部では王国は戦争準備をしている。王国貴族として、誠に悲しい限りだ、悪化していく毎日に嫌気が差す。しかし、我々は屈しない、町民や君達を守るのが我の使命であり、共に道を歩み………」
ホセ公爵の熱弁は続く………。彼は民主寄りの侯爵家貴族であり、町民からの支持は高い。民に寄り添い、民の生活を考え、導いてゆくのが自分なりの貴族としての考えだ。
ホセ公爵、良い貴族だけど話が長い………。話を聞く中、そしてふと思うのである。
(あれ、ヨハーソン家って?………)
一方、ミリアはキョロキョロと少し落ち着かない様子で大広間を眺める。しかし、ヨハーソンと言う名字、確かアンゼシカお姉様の名字である。あのホセ公爵、アンゼシカお姉様と同じ髪の色、何か関係があるのだろうか………と、考えてしまう。
すると隣のロメロがミリアの肩にコッソリと肘をツンツンと付いて………。
(ミリアさん、公爵様の話を聞かなくてはダメですよ………)
ロメロは小さい声で告げるのである。貴族に仕える使用人たる者、御主人様の話はシッカリと姿勢を整え、話を聞くのが礼儀である。ここでのロメロ、普段アレックス達といる時はパンツ一丁になってフザけていたが、ここでは切り替え、真面目な執事の顔である。




