第119話 思わぬ所で再会
相手の曲剣を自身のロングソードで受け止め、アレックスは思い出したかのように口を開く。
「お前は確か、あの時の原住民………」
魔の森にて、キノコを採取する依頼で遭遇した原住民のババ族である。あの時、戦った奴とは同一人物であるが、名前は知らない。テロリスト集団の兵装を着用しているのか、協力している。恐らく、他の原住民族の人達もテロリストに協力しているのだろう。
「コンナトコ、サイカイ、シタクナカッタ」
ババ族のリーダーはカタコトな言葉。
「テロリストに手を貸すなんて、地に落ちたな」
「ワカッテル。ケド、カゾクマモルタメ、タタカウボクタチ………」
ババ族のリーダーは主張。家族、故郷、そして民族の伝統を守る為、外道にも堕ちる覚悟の意思が重みとなり、アレックスに伝わってくる。
「テロリストに協力してまで、お前の伝統を守っても、故郷は報われるのかっ!!」
「ムクワレナイダロウ………シンダトウサンカアサン、ヨロコバナイヨ。ダケド、ユズレナイイシガアル」
ババ族のリーダーは気迫ある剣圧で前に押し込み、アレックスを後退させる………。
そしてギラリとした瞳を輝かせ、至高ある威圧感を漂わせ、斬りかかる。本来、心優しい原住民達は大切なモノを守る為、鬼の覚悟だ。
「く、コイツっ………」
アレックスはロングソードを振るい、刃を交える。
火花を散らし、一瞬でも気を抜けば………(死)だ。アレックスはやや後退。相手の剣圧が強く、それが威圧感とある。今まで戦って来たモンスターより、力量は高い。
そして中間の距離にて、仕掛けるのはババ族のリーダー。曲剣を脇に振るう。
「ナメるなッ!!」
アレックスはロングソードを振り下ろし、渾身の力で刃同士を衝突し合う。こちらも修羅場を潜って来た身だ、それなりの力量はある。
次、アレックスは威圧感ある剣圧で相手を後退させる。
「恨むなよッ!!」と、アレックスは駆け走り、ロングソードを振るう。しかし………。
────ッ!!
1本のクロスボウの矢が、アレックスの右肩に突き刺さる。アレックスの右肩に激痛が行き渡り、苦悶の表情で歪ませる………。
スキあり…………と、思わんばかりにババ族のリーダーは曲剣を振るい、アレックスのロングソードを弾き払う。ここでこの好機を掴まなければ、自身は死んでいたかも知れない。
アレックスのロングソードは空中を舞い、地面に突き刺さる………。アレックスは得物を失い、ピンチ。
「アカカミ、カクゴッ!!」
ババ族のリーダーは、曲剣を振り下ろす………。




