第117話 後世の為、同胞の為
「ギルドにフェイクの依頼を出して、俺達をハメるなんて舐めてくれるじゃねぇか?」
アレックスは憤った口調でロングソードを構え、戦闘体勢を整える。奴らのやり方は人道に反し、卑劣極まりない。何らかの方法で冒険者の個人情報、依頼内容、戦力情報、そして国営施設の警備情報などの情報を入手し、それらを元に彼らは戦術を組み立て、あらゆる工作を実行する。
この卑劣な工作により、ここ数日により何人もの冒険者達が犠牲になった。しかし、彼らは言う。
「我々は民族と宗教、伝統を守る為、そして組織の為、鬼にでも悪魔でもなる。お前達に恨みは無いが、せめて女神の下に導かれる事を祈るとしよう………」
フードを被った部隊のリーダーらしき構成員はロングソードを抜き、覚悟したような言葉。リーダーの言葉に続くように、他の構成員達は武器を構える。死後、地獄行きは免れない、それくらいの覚悟である。
「王国はこれまで、我々の何もかも破壊し、奪った。奪った全てを返してくれとは言わない、しかし、このまま変わらなければさらに多くの同胞達が犠牲になるんだっ」
部下の1人は主張。
「けど、お前達のやり方は王国のやっている事と同じで、何人もの犠牲者が………」
アレックスの言葉に………彼らは。
「分かってる。だか、全てを変えるにはある程度の犠牲は必至、どの国の歴史上、国を変える為に多くの犠牲者を生み出し、多くの血で積み重なっている。綺麗よく話し合いで解決して変わった歴史はないんだよッ!!これまで犠牲となった同胞の為、我々は戦うッ!!」
リーダーは主張に皆は戦闘体勢を整える。その威圧感は背水の如く、全ては後世に生きる者の為、全ては犠牲となった同胞達の為………退けない。
彼らに撤退の意思は無しと判断した………アレックス達は応戦体勢を整え、そして口を開く………。
「ミリア、お前は俺達の後方を支援しろ………」
アレックスの問いに、ミリアは………。
「私は大丈夫です」
答えるミリアはショートソードを抜き、片手で構える。
「ダメだ、これから人を殺す。これは戦争だ、1つの情けがチームの生き死にに関わる。だから、分かってくれミリア………」
アレックスは言った。穏やかかつ、厳しい口調で………。何故なら自身の気持ちを整えない者に生き死にの戦いをさせる訳にはいかない。
そして…………敵の構成員達は一斉に砲撃を放つ。砲撃の轟音が響き渡り、地面に直撃して爆発を引き起こし、戦いは空を切って落とされた。




