第116話 ハメられた自分達
その頃………。
アレックス達はいつものように依頼活動する事にする。王国の撲滅依頼には興味がなく、努力義務の為、強制力はない。そして依頼を受けたくない理由、何故なら依頼を受けた冒険者は、自身の身内に被害を受けたり、闇討ちされたりする者もいた。
それだけではない………依頼内容と現場状況の違いが異常。まるでこちらの作戦を先回りしているかのように………。ある冒険者達は戦力が低いグループを相手するハズだったが主力の部隊が待ち構えており、壊滅された。またある冒険者達は目的地に向かう道中、敵の大規模部隊に襲撃され、壊滅された。
───運用馬車に搭乗し、目的地に向うアレックス達。場所は王国南東部の平原地帯、依頼内容は、平原地帯をテリトリーにしているリザードナイトの討伐依頼である。茂みの中から出没して通行人に襲うらしく、数は多くて凶暴である。
目的地近くの停留所に降りるアレックス達。
「ミリア、あんま無理すんなよ」
アレックスは優しい一言。ミリアは(ハイっ)と返事。
───〈平原地帯・南東部〉───
平原街道にて、アレックス達は戦闘体勢を整える。
「さて、リザードナイトはどこだ?」
いつものような口調で依頼開始。ロングソードを構え、アレックスは辺りを眺める。自分達は帰って次の依頼をするだけ、いや今はミリアの悪魔祓いを調べに図書館に行く予定だ。
しかし、平原地帯にはリザードナイトおろか、他のモンスターすらいない。
「どうゆう事でしょう?」と、デビッド。
…………サウルとロメロは沈黙し、ありとあらゆる状況を割り出すのである。
すると、サウルは危機を察知し、思わず………。
「伏せろッ!!」
────ッ!!
サウルの怒号と同時だった。砲撃による爆発が発生し、硝煙が行き渡る。皆は身を低くして安全体勢を整える。パラパラと空中に充満する砂塵、熱気。そして正体を現すのである。
「やっぱりな………」
嫌な予感は的中し、サウルは険しい表情を浮かべる。
平原の丘を乗り越え、現れたのはテロリスト構成員。数十名の団体、黒曜の甲冑を装備し、ロングソードやランス、クロスボウを武装している。そして5門の大砲台を設置し、火薬の煙をモクモクと上らせる。
「コイツはどういう事だ?」
アレックスは驚愕。
「どうやら、私達もハメられたようですね?彼らに………」
ロメロは両拳を構え、殺気を放つ。
恐らく、奴らがギルドにリザードナイト討伐と言う名の虚偽の依頼し、俺達を呼び寄せた。冒険者の俺達を皆殺しにする為に………。




