第114話 深夜の散歩
「ハァ………ハァ………ハァ………」
ミリアは額から汗を流し、ベッドから飛び起きる。普段の夢はハッキリとしないのが多いが、最近の夢、主にDに関係する夢はハッキリし、覚えている。あまりにもリアルで、恐ろしい夢である。
自身の右手首を眺めるミリア。いつものように不気味な赤黒い文字が浮かび上がっている。
これ以上、進行するかしないか………恐怖が行き渡る。
★★★★★★
ミリアは夜の町を歩いていた………。時刻は深夜3時程、あれから寝入りしようとしたが、眠れない。気分を転換する為、夜の散歩。
しかし………人通りは少なく、歩いているのは………。
陽気な酔っ払い、地面に横たわる酔っ払い、何故か泣いている酔っ払い。何故、泣いているのは知らない方がいい。夜の町は、あまり治安は良くない。
すると………。
「こんな時間に散歩とは、正義の味方としては関心はしないな………」
建物の影、ミリアに歩み寄るのはアンゼシカ(真美)。
「マスク・ド・a様………」
ミリアは沈んだ声、振り向く。何故か、気配は感じなかった。
「その様子だと、色々とあったみたいね?」
アンゼシカ(真美)は言う。
「その………マスク・ド・a様………」
そして、ミリアとアンゼシカ(真美)は中央広場のベンチに腰掛け、話を聞く事にする。深夜の広場、噴水の水しぶきが静寂の雰囲気を掻き消すように響かせる。
「君が、私達を皆殺しにする夢を?」
アンゼシカ(真美)は問う。そしてミリアはコクリと頷く。最初は敵を途方になく斬り伏せ、気付けば罪無き人間の死体が地面に行き渡り、最後は自身の姿を忘れ、アレックスやマスク・ド・aと対立し、皆殺しにした。
さて、その続きの先、ミリアは何も言おうとしない。いや、出来ないと言ってもいい。
ちなみに、このイベントはゲーム本編には一切発生しない。ミリアが悪魔に変身出来る能力が身に付いた事とマスク・ド・aが登場した事により、追加されたイベントである。
「マスク・ド・a様、私………」
「ミリアさん、その先のセリフは無しだよ。今日、アレックスさんが言ったように、君は仲間を信じ、色々と頼むといいよ」
アンゼシカ(真美)は言った。
すると、アンゼシカ(真美)の言葉に、ミリアの瞳にポロリと涙………。
それにアンゼシカ(真美)は、ミリアが流す涙を指先で撫でるように………。
「君に涙は似合いません。君はいつものように笑って、そして私に抱き着いてこればいい。そんな君が、私は好きなのだよ………」
アンゼシカ(真美)はカッコよく伝える。




