第111話 アレックスの怒り
アンゼシカ(真美)の答えに、皆は残念な雰囲気を漂わせて沈黙してしまう。ハァ………こんな雰囲気になったのは何時ぶりだろう。
昔、学生時代にて、とある授業中に手を挙げて、自信満々に答えたらその答えが間違えていて、クラス中に笑われて物凄く恥をかいた。あの雰囲気に似ている。
ちなみに………私が思い出したくもない思い出の1つである。
「………正義の味方だろ?もう少し物知りな所を期待したんだが………」
アレックスは腕を組み、ガッカリ。
「その、すいません………」
アンゼシカ(真美)は申し訳無い様子で頭をポリポリ。すいませんねっ………と、心の中で強く思うのである。何せ、本当の事を伝えたら物語の設定が滅茶苦茶になる可能もあるからね………。
そしてだ………皆は適当な昼飯を済ませ、少し食休みをした後………。
「皆様に、これを………」
もう、嘘は付きたくないミリアは右腕を見せるのである。
(………………)
ミリアに浮かび上がる赤黒い文字を見て、皆は戦慄した。額からは汗が流れ、まるで酷く惨殺された死体を見たような気持ちになり、言葉が出ない。
ミリアの腕に浮かび上がる赤黒い文字は、日数が経過していく度に増えていき、手首から肩にまで行き渡る。
ミリアは平気な表情、笑顔を浮かべる。
「何で………」
アレックスは重い声を吐き出す。
「でも、文字は増えてますけど、声はピンチならないと聞こえないので今は大丈夫………」
「大丈夫な訳、無いだろッ!!」
ミリアの言葉に、アレックスはテーブルをドンッと叩き、怒号を響かせる。店中にいる他の輩が見ているが、関係ない。
「アレックスさん………」
デビッドは悲しい表情、付き合いが長い彼は、気持ちは分かる。
「何で今まで黙ってた?何で今まで隠していた?俺達が、そんな事をどうでもいいとでも?お前だって怖いだろ、得体の知れない呪いに、声が聞こえて、いずれは自分がどうなるか分からないのに、それなのに、お前は大丈夫だって………」
「アレックスさん、ミリアさんは言わなかったんではなくて、言えなかったですよ」
デビッドはフォロー。
「分かってる。けど、俺達は仲間だ。そこん所は頼ってほしい」
アレックスは言った………。こんなになるまで、隠していたミリア。いや、言えなかった状況を作った自分に怒りを覚えてしまう。
アレックスの言葉にミリアは解放されたかのように涙を流し、震わせた声で………。
「みなさん………ありがとうございます」
ミリアは言った。




