第9話 追放王女に溺愛される
───〈北東部の森林〉───
アンゼシカ(真美)は採取作業。依頼は(エステルの薬草)を50本。場所はこの前、漆黒の聖職者に襲われた草花が生い茂った広地である。
ギルドに所属してない私、裏方としてミリアを見守るつもりだったが………。
「マスク・ド・aさまーーッ!!見てください、私はこんなに取れましたーーーッ!!」
ミリアはカゴ一杯、恐らく30本の(エステルの薬草)を見せ、アンゼシカ(真美)に駆け寄り、腕を組みつつ頰笑みを浮かべる。
採取した数が多ければ、ボーナスがある。出来るだけ多く採取しよう。
(あまり抱きついてこられるのは……)
アンゼシカ(真美)は恥ずかしい様子。
腕を組んでくる際、ミリアの柔らかい乳房が当たっているのだ。同性でも、ミリアに見つめられたら意識してしまう気持ちになるから苦手だ。
本来、私はミリアが採取作業をしている中、気配を消して裏方として見守るつもりだったが……。
───あ、マスク・ド・a様ッ!!見ーつけたッ!!
隠れていた所、見つかった訳である。
それで、手伝わせられている……。
(ハァ…………)
アンゼシカ(真美)はタメ息。何故なら(エステルの薬草)を沢山、カゴ一杯に持ってくる度に、抱きついてくるのだ。悪い子ではないが、女性として……。
「マスク・ド・a様」
ミリアの言葉にアンゼシカ(真美)は振り向く。
───ちゅっ………。
ミリアはアンゼシカ(真美)の頬にキス。
(………………)
こんな具合だ………。アンゼシカ(真美)は赤面し、口がパクパク。
───すると、一帯にズシッと衝撃音を響かせ、大木が地面に倒壊。音が発生した場所は東方向、木々の間から小鳥の群れがバサバサと飛び出す。
(何かしら?)
アンゼシカ(真美)は音がした方向に視線を向ける。
その方向にスタスタと歩いて進んでいくミリア。
彼女は興味があるモノには近づいていくクセがある。
(あ、あの娘は………)
アンゼシカ(真美)は後を追いかける。
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