第7話
「ごめんなさい、ごめんなさい」
女の人の謝る声がする。そして、その後は男の人の怒号。
「私が全て悪いです。力もないのに口答えをしてしまい申し訳ありませんでした。貴方の役に立てずにごめんなさい。」
女はそう言って泣き崩れる。男は何処かに去っていく。
女の気持ちが頭に入ってくる。
力のない私はこの人と別れられない。でもいつか力が目覚めるかもしれない。そうすれば私も仕事につける。だからその時にはあの人と離婚をするの。言いたいことを全て言ってあの人の浮気の証拠を掴んで慰謝料を貰う。それまでは我慢。。
お願い私に力を授けて。。。
そこで目が覚めた。
私は周りを見渡す。目が覚めた場所は薄暗い部屋の古びたベッドの上であった。
時刻は、16時より少し前。
アラームが鳴る少し前に目が覚めてしまったようだ。アラームが鳴らないようにし夢の内容を思い出す。あれは、この体の持ち主の感情なのだろうか。いや記憶なのかもしれない。
この体の持ち主は能力が使えずにいて能力主義のこの世の中で生きていくのが大変だった。また、その為旦那さんであるあの男に何もできなかったということだろうか。能力を使える人がどのくらいの割合なのかはわからないが酷い扱いである。
たが、私がこの体に入り能力が使えるようになった。私がすべきことは旦那との離婚なのだろうか。
しかし能力を使えるようになったが私はこの家から出れない。だからといってあの男にずっとご飯を作っては寝ての生活を繰り返す人生は嫌である。とりあえず、最低限の自由と外部との接触が欲しい。そして、もし自立できるのであればあの男とはおさらばしたい。
「とにかく情報収集だ」
私は考え続けることに疲れ、寝室をでた。時間は16時30分。まだあの男は帰ってこないだろう。
私はあの男のドアを開ける。
電気のスイッチをつけるとリビングと同じように明かりがつく。
机にパソコン、ベッド、本棚に、クローゼット、
私の部屋が嘘のようにしっかりと生活必需品がある。あの男は買い与える必要がないということなのだろうか。ベッドに使われてる木も違ければ毛布や布団も時代が違うのではないかというくらい私の部屋のものとは別ものであった。私の部屋にあった布団は薄く雑巾のような物だったが、この部屋の布団は軽くて柔らかく素材がしっかりしてる。
そして何よりも驚いたのがパソコンだ。
パソコンがある!!
私はてっきりこの世界にはないのかと思っていた。こっちにきてからスマホやパソコンを見ておらず能力というものがある代わりに発展してないのかとおもっていた。たがちゃんとパソコンがあり目の前には普段見かけるノートパソコンであった。
すぐにパソコンを立ち上げる。
パスワードがかかっているかと思ったがかかっていない。私がこの部屋に入るとは1ミリも思ってないのだろう。
そうたかを括っていたが。
キーボードのタッチの部分が光り出した。
『力を入れてください』
表示が現れる。反射的に手を離す。どういうことだろうかとりあえずもう一度軽く触るが反応しない。
すると30秒の文字が出てカウントが始まってしまう。
最初に表示された文字の下に小さく文字が出る。
『30秒以内に力を入れないとロックします』
「えっ、どうすれば!?」