第6話
ガチャ ゴッ
「痛い!なにこれ!?」
私はドアを開けて一歩踏み出した。けれど見えない壁に爪先がぶつかり外に出れなかった。
手で見えない壁らしきものに触れてみる。しかし、動く気配もなければ力を入れたからといってすり抜けられる気配もない。
それでも諦めきれず体をぶつけたり蹴りを入れてみたりする。だが無理そうである。私の寝室の窓にも行く。やはり結果は同じで窓の形をした見えない壁が貼ってあるようであった。
「まさかの、私この家から出られないの?どんな話だよ!」
普通にお家に帰って寝たと思ったらおばさんになって能力を使えるようになったはいいけど家から出れない。あと、モラハラ旦那付みたいなお話。
やるべきことが浮かばない。私はこれから先よくわからないあのおじさんと2人で生活していくのだろうか。結婚相手くらい選びたかった。いや、もう少し若さを楽しみたかった。
諦めてリビングに戻る。リビングに戻ったがいいが何をすれば良いのかは全くわからない。周りを見渡してみるがあるのはテレビ、ソファ、ダイニングテーブル、椅子、カップラーメンなどがつっこまれたカラーボックスである。
ここでスマホやパソコンがないか気になりだし探すことにした。
収納の扉を開けてみるがアイロンやミシン、雑巾など生活用品がゴチャゴチャにはいっている。スマホなどもなく特にヒントになるようなものがない。
次に寝室に向かう。やはり電気がないと薄暗い部屋である。電球はついているが切れているのにかえていないのだろうか。改めて見渡すとこの部屋は酷いものである。ベッドも掛け布団などもだいぶ年季が入っていて収納道具も透明でプラスチックの大きめの入れ物が1つ。そこには洋服が入っている。唯一気になるのは洋服の入ってるプラスチックの入れ物の横に木でできた小さな箱があることだ。私は開けてみた。中には紙切れとメモ帳だ。紙切れは離婚届。
弘中 由紀子
この身体の持ち主の名前だろうか女性の欄だけ完全に埋まっている。
メモ帳には日付とあの男からの暴力が箇条書きでかかれている。
物を投げられたり机を壊した。など物に当たりそれによる被害が多い。メモ帳の2枚目に書いてある言葉。
離婚したい
この奥さんの気持ちなのだろう。字が怒っているような殴り書きで書いてある。
2枚目のところ以外は旦那さんの暴力の内容で全てに目を通し終わった。
目を通し終わったところでこの旦那への怒りを感じてしまう。モラハラ、DV、なんて酷いやつなのだろうか。もちろん、モラハラで精神的に痛めつけることも許せないが手を出し物に当たることが特に許せない。恥を知れと思う。
紙をしまい。ベッドに座る。男への怒りはあるが今できることは少ない。
ベッドに座ったからか眠気が来る。
鏡で見た時にこの顔のクマが酷かったことを思い出し寝ようと思った。
時刻は13時過ぎお昼は食べてないがお腹が空いてはいなかった。目覚ましを一応16時にかけて一眠りする。
私は夢を見た。いや夢なのかもわからない。だってさっき寝付いた世界が私にとっては夢のようなものなのだから。