第4話
「うるさいな!お前に仕事のことなど関係ないだろ!なんだ俺が仕事をちゃんとしてないとでも思ってるのか?こんなに遅くに帰ってくるんだから忙しいに決まってるだろ!」
至って普通の質問をしたはずだ。てっきり疲れたよとか、忙しくてなどと返事が来るものだとおもっていた。想像していた内容は同じようなことかもだが言い方が強すぎる。何か感に触ることを言ってしまったのだろうか。
「。。。。」
黙っていると
ドンッ
男は近くにあった本を投げてきた。本は私の横を通り過ぎ壁に当たって落ちたが、私は驚きが止まらない。
もちろん投げられ当たりそうだったことに驚いたのも事実だが男は本を掴んだわけではなかったのだ。
なんと言えば良いのだろうか男が手を広げた状態で本に手をかざしそれが飛んできた?本から10センチ程度高い位置で手をかざしただけで男は本を掴みはしなかったはずなのだ。
「お前みたいな力のないやつを嫁にもらってやったんだ。なのにまともに家事もできず機嫌も取れないのか?ふざけるな。」
その後も怒鳴り続けているが頭に入ってこない。放心状態で座っていると男は言いたいことは言い切ったのか私が寝ていた部屋の反対側にある部屋に行ってしまった。
落ちている本をみてもう一度思い返す。あの時確かに男は本に触れていなかった。でも本は閉じられたまま飛んできた。普通なら本が開いてしまうはずだ。私も本に触ってみる。特に不思議なところもなく普通の本である。
少し考えたあと本に手をかざしてみる。手の節に力を入れて何となく力を入れてみる。すると本が浮いた。
「なにこれ。。。」
指を立て動かしたい方向に指を振ってみると本が動く。
「すごい!!楽しい!」
調子に乗って部屋の中を一周させてみる!すっと綺麗に本が動き私の指に合わせて移動していく。
ここでは不思議な力が使えるらしい。
他のものもできるのかとお皿や箸でも試してみたが使える。とりあえず、残っているご飯を食べて食器などの移動も不思議な力を使いながら片付けてみた。
片付けが終わり、もう一度寝ていた部屋に戻る。リビングの明るさからのこの部屋はとてつもなく暗く。手探りでベッドまでいく。ベッドの周辺を弄ってみるが時計らしきものがあるだけでスマホなどは見当たらない。少しずつ目が慣れて何とか時計の針が指している時間が読めるくらいにはなった。時計は古そうなアナログ時計だ。今は午前1時20分。小さいアラーム用の針が5時30分に指しているので朝起きる時間なのだろう。
夢の中なのに睡魔が来る。きっとこれで寝て起きたら目が覚めるのではないか。いやもしかしたら覚めないかもしれない。少しネガティブに考えながらも睡魔に負け眠りにつく。
ピーピッ ピーピッ ピーピッ ピーピッ
目覚まし音がなる。音を止め起き上がる。