『質問』そして・・・
久良くんが心配性なせいで、序盤はストーリー進行が大分遅いです。悲しみ。
・・・とりあえず、『彼』にはもう少し聞きたい事があるし、そもそも『彼』を信用してもいいのかも怪しい。まだあの謎の『隙間』を通るのは保留だ。
「・・・もう少しだけ質問しても?」 なるべく低姿勢になりすぎない様に、慎重に言葉を選ぶ。
「ええ、お答えできる範囲であれば全てお答えします。『我々』は貴方を歓迎します」
・・・彼は、とても『優しい声』をしている。 整った顔の『安心する笑顔』も合わさって、今にも魅入られてしまいそうに・・・あいや、ソウイウ意味じゃないが。
「えーっと、『言語登録』というのは、一体どういった基準で・・・?」
「まず最初に『言語』を解するかという点と、その後に細かい発音や地域独特の訛り等、そういった点から総合的に判断しています」
「なるほど。ありがとうございます」
「それと次に、どれだけ歩いてもまるで・・・えーっと」
「ええ。『言語登録』が完了するまで、『セーレ』にご入場される事はできません」
「・・・『入場』ですか?」
(『入場』とは本来、何かしらの『会場』や『競技場』等に使われるはずだが・・・)
「ええ。『入場』です」
「・・・ありがとうございます」
「『セーレ』の『中』には一体どういった・・・えっと、施設というか・・」
「『扉』を通っていただければ『担当』の者が説明致します。」
「・・・ありがとうございます」
「最後に、貴方の名前を教えて頂けますか?」
「・・・・私に『名前』はありません」
「・・・ありがとうございます」
「・・・・」
「・・・」
『沈黙』が続く。 それを破ったのは『彼』だった。
「――――『久良 俊平』様。 お時間になりました。『扉』から『入場』をお願いします」
「・・・私は、まだ『名を名乗った』覚えはありませんが―――」
「『扉』へどうぞ」
「『拒否』する選択肢はありますか?」
「『扉』へ」
「『質問』に答えて頂くことは可能ですか?」
「『扉」へ」 『彼』は右足を出す。
「ソレは疑問文への返しとしては相応しくないな」 『久良』は後退りする。
「『扉』へ」 『彼』は左足を出す。
「『扉』の先には何がある?」 『久良』は後退りする。
「『扉』へ」 『彼』は右足を出す。
「それ以上近付いたら殺―――「そこの少年ッ! 困っているかいィ!?」
―――その『声』は、『彼』のものでも久良のものでもなかった。
「オォォォォットウゥゥゥ! 先に名乗るのを忘れていたようだァッッッ!!!」
―――その『声』は、『壁の上』から聞こえた。
「『我が名』は『チェン・ビンルイ』ッッ!!! 『困った魂』に釣られてやってきたッッッ!!!」
―――何もわからないまま、久良は『声の主』を探していた。
「詳しくはよくわからないッッッ!!! しかし状況からしてッッッ!!!!!!」
―――『彼』も、『声の主』を探していた。
「『少年』ッッッ!!! 君が困っているッッッッ!!! ならば助けぬ選択肢は――「『エモニル・タイム』!」
―――少年は、『パンク』せぬために『時を作る』選択をした。
世界は闇に包まれる――――――――――――――――――――――――――――
(―――んまあ、敵じゃない・・・んだろうな。そう思っておこう)
だが、わからない事がある。 『声』は『チェン・ビンルイ』と名乗っていたが、彼の喋っていた言語は、かなり訛ってはいたが『日本語』だ。つまり、『俺が日本人だと知っていた』事になる。
(『声』は『壁の上』から聞こえてきたのだから、会話の内容や顔から判断したというのも考えにくい。 『能力』の可能性もあり得る・・・)
(・・・それに、『困った魂』に『釣られた』と言っていたのも気になる。 何かしらを『察知』するとか、五感を強くするとかそういう『能力』と考えるのが一番自然に―――――)
―――その時、久良は『今見えるはずのない光』を遥か遠くに見た。
――――――次の瞬間、『闇』は『世界』に書き換えられた。
『声の主』さん、書いといてアレだけどなんか変態的。
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