『その時』そして開花
キャラクター紹介:主人公『久良 俊平』 中学3年生/14歳/西暦2004年11/28日生 身長・157cm 体重・54.1kg (割と筋肉質な感じ)
背景:『久良 俊平』が異世界に『飛んだ』のは、地球日本時間で西暦2019年4/21日、『異世界時間』ではまだ不明。
※第3話ぐらいまでは軽く流し読みするぐらいがオススメです! 暫く『久良君』が1人で勝手に盛り上がってます! あ、勿論普通に読んでもいいと思いますよ!
ある日、起きれば異世界だった―――
中学生であれば、一度は想像したことがあるだろう。 こういう時の為に『異世界転生or召喚やることリスト』を脳内に作ってある。
幾度となく練習してきた動き。迷いなくリストをなぞる。 淀みはない。
まず状況を確認。服は確か昨晩寝るときに着ていた渾身の寝間着。 空は夕焼けに赤く染まっていて、周囲は平原に囲まれているが、人影は一切見えない。 平原の向こう、遥か遠くに微かに町のようなモノが見える・・・・か。
夜になったらマズいかもしれない。 どこからでも視線が通せるため、わかりやすい獲物になる。
遥か遠くに見える町に向かうのもいいが、夕日がそれを咎める。 もうじき夜だ。間に合わない。
・・・今日は神様に祈りながら地面にキスで夜を越すしかない。 ああ、獣共のかぐわしいモノが落ちていないことも祈らないといけない。
―――次に記憶を辿る。神様が何か特殊能力をくれている可能性もある。
確か・・・・そう、夢を見た。夢の内容は単純で、たしか『もし特殊能力を1つだけ手に入れて異世界に行くことになったら、一体どんな特殊能力がいいですか?』という内容だった。 某tterで見たなコレ。 もうちょっと違うノリだろ普通。
俺は確か・・・・そう、『時を操ったり作ったり消したり止めたりする系の強いヤツ』と答えたはずだ。 やべえな俺。
さて、もしここで特殊能力をくれているようであれば、最優先で能力の発現を優先する。なんせここは異世界だ。 下手なサバイバル知識よりよっぽど信頼に値する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(能力でろでろでろでろーーー!!!!!)心の中で叫ぶ。ダメだな。これ口で叫ぶヤツだな多分。
「能力でろでろでろでろーーー!!!!!」と大声で叫ぶ。自分の事を客観視できないタイプの人間という欠点が良い方向に働くのは初めてだ。 が、ダメだった。コレアレだな。技名とか考えるヤツだなコレ多分。
とりあえず、色々試してみるか・・・・・
「ウルトラスーパーエクストリームアターック!」「スペシャルグレートマキシマムブレーイク!」「メガマックス・・・・」「ギガゴリラ・・・・」「メイド・イ・・・」「キング・ク・・・・」「ザ・ワー・・・・」「バイツァ・・・・」
―――――――――――――――――――――――――「タイム!!」
―――そう言い終わった瞬間、周囲が闇に包まれる。
(来た!? だが、時間系のヤツじゃないのか!?)一瞬パニックになる。 思考を回す。
一番最初に出てくるのは、『敵の攻撃』という説。 だが、突然攻撃されるほどこの世界で悪行を働いた覚えもないし、人影も一切見えなかった。 とりあえず保留だ。
次に『タイム』の能力という説。思考を回す。 てか『タイム』だけってダサいなコレ。 なんかくっつくだろ普通。
一旦状況を確認。腕は動かせる、足も動かせる。眼球も。首も。 とりあえず身体に問題は起きていない。
自分の渾身の寝巻の無事も確認。 身に着けている物はセーフか。 手に持ってるヤツもOKなのだろうか。
次にあたりを見回す。一面に広がる闇。見回せているのかすらわからない。
軽く歩き回ってみる。一面に広がる闇。歩けているのかすらわからない。
どこを見ても闇。どこに行っても闇。不思議と平衡感覚は奪われないが、あまりに異質な世界だ。 今までいた『地球世界』とも『異世界』とも似つかない、文字通り『次元』が違う世界としか思えない。
(―――しかし、いきなりこんな気が狂いそうな状況に置かれているのに、動悸も何もないんだな・・・もっと危機感を持つべきだな、俺は。)そして、ふと胸に手を当てる――――――
心臓の鼓動が、聞こえない。
焦るはずだった。 だが、俺はなぜか恐ろしく冷静だった。
(俺に不整脈やその類はない。 それに一切の痛みや違和感も無しに一瞬で止まるなんて・・・いや、ここならあり得るのか? だが――)思考を回す。
最終的に、有力な仮説は3つ出た。
1つ目『これは自分の特殊能力により生まれた世界で、この世界では心臓が止まるが、その代わりに心臓が止まっても生きていける』
2つ目『これは敵の能力により生まれた世界で、この世界では心臓が止まる。 が、俺の特殊能力で心臓が止まっても生きていける』
3つ目『これは敵の特殊能力により生まれた世界で、この世界では心臓が止まるが、その代わりに心臓が止まっても生きていける。』
1つ目が最有力だ。 『タイム』を叫んだ瞬間だったし、俺は悪事を働いていないし、周りに人影もなかった。これほどわかりやすい根拠はない。
2つ目に関しては、『確実な殺害』を目的とした能力。くどいようだが、俺はここで悪事を働いていないのだから、やるにしても軽く脅す程度に抑えておくはず。
3つ目も、明らかに『いつまでも閉じ込める』という拷問目的とも言えるような能力。 『軽く脅す』向きではない。
そして何より、こんな状況でも俺が冷静に居られているのは、明らかにこの世界が"そういった"性質を持っているとしか思えない。攻撃用として使うにしては不自然だから、1つ目が最有力だ。
(・・・にしても、いつ元の世界に戻れるんだ? 1億年ずっとこのままだとかいうなよ。ここにあるのは渾身の寝間着だけ・・・素振りすらできやしないぞ・・・)
などと考えていると、遥か遠くに光を見た。
――――――次の瞬間、目の前に広がる闇は、夕焼けに赤く染まる空とどこまでも広がるような平原に書き換えられた。
評価やレビュー、感想等頂けると嬉しいです!
連載初挑戦ですので、もし誤字等至らぬ点ありましたらご指摘いただけると幸いです!
※キーワードについて 基本的には『ストーリーが進んでからそれに応じてキーワード設定していく』という方式をとらせて頂きます。暫くキーワード欄が寂しい状態が続きます・・・